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神様の願い事

第9章 ねこのきもち

《sideS》



誰だこんな朝っぱらからから。


翔「はい」

雅『俺俺っ』

翔「なんだよ、どうしたの?」

潤『いいから早く開けて』


折角の休日だからと予定を一生懸命立てていたのに。
この調子じゃ俺の予定は遂行出来そうに無い。


ガチャッ


雅「翔ちゃん、大変っ」

翔「な、なになになに」


ドアを開けるや否や、見知った顔が三人有無を言わさずドカドカと入ってきた。


翔「三人、だけ?」

和「人間はね」

翔「へ?」

和「ここに一匹」


“ここに”というニノの懐に目をやると、そこには黒猫が。


翔「ん...?」

雅「どうしよう翔ちゃん」

翔「黒猫...?って、まさか」

潤「そう、そのまさか」

翔「ええっっ!」


ピッタリと張り付いて、ニノから離れようとしないその猫には見覚えがあった。


翔「さ、智くん...?」

「にゃ...」

翔「え、何、喋れないの?」

和「うん」

翔「ええっ、一体どうしちゃったんだよ智くんっ!」

「ぷにゃっ!」


俺が掴もうとすると、智くんは耳を後ろに怯ませて後ずさりした。


雅「驚かせちゃ駄目だよ」

翔「えっ」

潤「あ~ほら、すっかり怖がってんじゃん」


“怖がっている”という智くんは、ニノの後ろから顔だけを覗かせてコッチを見てた。


翔「俺の事が怖いの...?」

和「思いのほか猫だからね」

翔「俺の事、忘れちゃったの...?」

雅「覚えてるんだろうけど、猫の本能が先に出ちゃったんじゃない?」

潤「すぐ慣れるよ。ほら、おいで」

「にゃぅん」


手招きをする松潤に吸い寄せられるように智くんは松潤に歩み寄った。
頭を撫でられて、隣にちょこんと座って。


潤「俺も最初ビビられたけど、すぐなついたし」

翔「あ、そうなんだ...」

雅「ほら、翔ちゃんも撫でてやれば?」

翔「う、うん」


俺が手を伸ばすと、智くんはその手をじっと見て。


翔「と、飛びかかってこない?」

雅「大丈夫でしょ。リーダーだよ?」

翔「そっか」


だけど“思いのほか猫っぽい”とかいう話じゃ無いんだ。


俺の目の前にいるのは智くんなのに、“なんだオマエ”という目つきを晒した完全な猫なんだから。





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