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神様の願い事

第9章 ねこのきもち




翔「あ」


避けられた。
優しく撫でようと思ったのに、ニノの膝にピョンと飛び乗って逃げられてしまった。


和「ま、まぁ。そのうち、ね」

翔「うん...」


かなりショックだ。これはキツイ。


翔「つか、どうしてこんな事に」

和「俺もわかんないんだけど、朝メールが来て」

翔「智くんから?」

和「ほら」


ニノの差し出すスマホの画面には“ねこになつた”という文字が。


潤「なにこれ。相当焦ってたのかな」

「にゃにゃっ」

雅「ん? あ、そっかなるほどね」


智くんの仕草を読み取り、相葉くんが智くんの気持ちを代弁する。


雅「ほら、肉球じゃん? スマホが反応しなくて大変だったみたい」

和「だからこんな文字に」

翔「つか、今のでわかるの」


マジかよ。相葉くんて凄いんだななんて関心している場合ではない。


翔「元に戻るの?」

和「戻らなかったら困るでしょうよ」

雅「だね。早くなんとかしないと」

潤「でもさ、もし」


“もし”その後に続く言葉は予想がついた。


潤「もし、このまま戻らなかったら...」


ニノは、その言葉を聞いて膝に乗る智くんを愛おしそうに撫でているし。


和「やだよそんなの。大野さん、どうなっちゃうんだよ…」

雅「うん...」


一瞬で、通夜のような空気が広がった。
誰も口を開かず、只ニノの膝で気持ちよさそうに微睡んでいる智くんを見続けた。


翔「俺が、なんとかする」

和「え?」

翔「俺が、元に戻す」

雅「翔ちゃん...」


元に戻す方法なんて検討もつかないけど。
だけど、このままにしておく事なんて出来る訳無いんだ。


潤「だけど」

翔「大丈夫。俺が責任持つ」

和「責任?」


“本当のシアワセ”だ。
それを、早く見付けてやらなきゃ。


翔「戻るまで、俺が智くんを飼う」


だけどこのまま猫になってしまったら、“本当のシアワセ”も何も意味が無い。


まだ俺にはなついてくれないけど。


それでも俺は、智くんを飼うよ。




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