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神様の願い事

第1章 不思議な噂



潤「で、昨日なんかあった?」

智「昨日?」


ちびちびと晩酌に突入した頃合いを見計らって俺は問う。


潤「翔さんに送ってもらったでしょ?」

智「ああ」


何も心当たりが無いとでも言うような、ポカンとした表情をしてる。


潤「そのまますんなり帰ったの?」

智「や、飯行った」

潤「ふたりで?」

智「うん」


それが何か?とでも言いたそうなその顔にはまるで心当たりが無さそうだ。


潤「普通に飯食って? んで帰ったの?」

智「や、翔くんが酔っ払ったからさ。ウチ連れてったんだよね」

潤「リーダーん家?」


なんだよ。
翔さんでもそんな流れ作れるんだ。


潤「じゃあ、家でなんかあったの?」

智「は?」


どうした、何故そんな事を聞くのかとリーダーの眉間に皺が寄る。


潤「ああ、いや、ね? なんか今日の翔さん様子がおかしくてさ」

智「おかしい?」

潤「ん、だから何かあったのかなーって」


首を捻って考えてる。

翔さんがあんなにおかしくなってたのに、この人はまるでいつもと変わらない。

なんだか翔さんが不憫に思えてきた。


智「あ~、あれかな…」


お、何か思い出したみたいだ。


智「酔っ払ってたのか寝惚けてたのかは知らないけど」

潤「うん」


やべえ、ちょっとワクワクしてきた。


智「俺が寝てたらさ」


なんだなんだ?


智「急に翔くんが…」


寝てた? てことはベッドか。


智「…いや、やっぱ、言えない」

潤「え?」


おいおい待てよ。それは無いだろう。


潤「え、教えてよ。誰にも言わないからさ」

智「や、だめ」


マジか。


潤「なんだよ。そんなヤバイ事なの?」

智「そういう訳じゃ無いけど」

潤「だったら」

智「喧嘩とかじゃないから、安心して」


そうだ、この人は口が固いんだ。
その上秘密主義的な部分もあったりするんだった。


潤「まあ、喧嘩の心配はして無いけど…」

智「うん」


じゃあもう終わりねと笑顔で俺を制するんだ。

もう聞くんじゃないよと、柔らかい笑みで俺に伝えるんだ。


潤「…俺も、久しぶりにリーダーん家行きたいな~」


制された腹いせに我が儘を言ってやる。

最年少の特権だ。



なんだかんだで招いてくれる事を、俺は知ってる。






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