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神様の願い事

第1章 不思議な噂



潤「あれ? ペットでも飼ったの?」

智「いんや?」


久しぶりに来た家を歩いたら靴下に何か付いた。


潤「でもこれ、動物の毛じゃないの?」


ホコリかなと思って摘んだら違った。
短くて柔らかい、動物の毛の様だった。


智「ん~? どっかで付けて帰って来たのかなぁ?」

潤「こんな沢山?」


1本や2本じゃない。
結構付いてるぞ。外で付けてきたと言うには無理があるだろう。


智「あ、そう言えばこの間友達が来たんだった。その時に猫連れて来てたな…」

潤「猫?」


取り繕ったかの様に急に流暢に話し出す。
その事に少し違和感を覚えたものの、たかが動物の毛位で嘘をつく必要も無いだろうと俺はすぐに疑う事をやめた。


潤「じゃ、泊まってくから」

智「へ?」

潤「明日休みでしょ?」

智「なんで知ってんだよ」

潤「天気悪くなるみたいだし、釣りも行かないでしょ?」

智「だからなんで俺のスケジュール分かるんだ(笑)」


年下って素晴らしい。
こんなの絶対嫌がるのに断れないんだ。


潤「いいじゃんたまには」

智「仕方ないな…」


ほらね。
俺だってキラースマイル持ってるんだ。
その笑みを喰らったリーダーは、呆れ顔で俺を許すんだよな。


智「結構我が儘なんだよな…」

潤「何か言った?」

智「いや、別に?」


呆れ顔なのにクスクスと笑うんだ。
その笑みを見ると、あ、本当に嫌な訳じゃ無いんだと安心する。
その反応を見て我が儘を言ってるなんて、この人は気付いてないんだろうな。


智「ほら、シャワーして来い」

潤「ふふ、ありがと」


投げられたバスタオルを掴んで俺はバスルームに向かう。
その俺の後ろで、ちょっと情けない溜息が聞こえる。


智「何しに来たんだアイツ…」


家に来るのに特に用は無かった。


只ちょっと、我が儘を言いたくなっただけだ。







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