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神様の願い事

第9章 ねこのきもち

《sideS》



カタブツで頑固って最悪だな、なんて皆に笑われたけど。
馬鹿で頑固も相当なものだ。


翔「言わないって事は、やっぱ俺の事嫌いなんだ...」

智「ちっ、違うよ」


心臓は正直に跳ねているのに、なんの理性が働いて頑なに口を閉ざしているのか。


智「そうじゃなくて... 俺も、好きだよ。翔くんの事」


お。とうとう諦めたか。


智「やっぱ、翔くんがいなきゃ成り立たないしさ」

翔「え?」

智「仕事に対する姿勢も、見習わなきゃっていつも」

翔「それって、仲間としてって事?」

智「ていうか、その...」


ごにょごにょと全く。煮え切らなさすぎだ。
智くんてこんなに優柔不断だっけ。
好きになったら好きと、ハッキリ言っちゃうすぐ言っちゃうとかインタビューで答えてなかったか?


翔「俺もね? ここまで言ったんだから、貴方の返事をちゃんと聞いてからって思ってたんだけど」

智「うん...?」

翔「もう無理。我慢出来ない」

智「え」


ごにょごにょと結局なにも変わりゃしないんだから、それならそんな口塞いだって問題無いだろう。


智「しょ...」


ほら、ドキドキしてるくせに。


智「ん、ふ」


やっぱ心臓の方が正直じゃないか。


翔「俺が幸せにならなきゃ、“猫化”治せないんでしょ?」

智「ん...」

翔「治せないかと思った。だって、俺の事好きな人は俺の事なんて...」

智「っ、そ、うだよ。翔くん、好きな人いたじゃん」


まだ分かってなかったとは。


智「その人と上手く行かなかったから、ヤケになってるだけじゃん?」

翔「馬鹿なの貴方」

智「へ」

翔「貴方だよ。俺の好きな人」

智「は...?」

翔「ずっと前から、貴方だけだよ…」

智「え? でも、凄く寂しそうな顔」

翔「貴方が素っ気ないからでしょ」

智「そ、んな…」


もう一度唇を合わせても、智くんは抵抗する事無く。


翔「他の人なんて居ないよ。見てたのは、ずっと貴方だけだ...」

智「しょぉ、く」


いかにも“困ってます”なんて話し方をするくせに。
それなのに、智くんの唇は俺をすんなりと受け入れる。


智「ぁ、は...」


怪訝な顔付きも消し去って。

目を閉じて俺を受け入れて。


漏れた吐息だって、俺を好きだからだろ?




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