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神様の願い事

第1章 不思議な噂

《sideO》



全く我が儘だな。

他のメンバーに我が儘を言っている所はそれ程見ない。
まあ、俺の見てない所で言ってるのかもしれないが。


智「何の流れで来たんだっけ…」


ああそうだ。
翔くんの様子がおかしいと言っていたな。
うっかり忘れる所だった。


智「そんな心配だったのかな」


喧嘩なんてする訳ないのに、そんなに心配していたのかと思わず笑みが零れる。


智「様子ねえ…」


思い当たる事と言えば、あのキスだ。

うっかりメンバーに、それも男にキスしたんだ。
そりゃ気まずいだろうと俺は珍しく気を遣ってやった。

俺だって驚いたけど、あの状況で1番驚いたのは間違い無く翔くんの筈だ。

だから俺はヘラヘラ笑って普段通りに話しかけたんだ。

その後の会話におかしな所は無かったと思う。
翔くんだって俺だって、普段通りに話をしたし。


智「思い出したのかな…」


1晩寝て思い出したのだろうか。
それで自己嫌悪にでも陥ってしまったのだろうか。


智「あ」


思わず俺まで思い悩んでしまった。
そんな所で俺のケツがムズムズし出す。


智「んも~ またかよ…」


ムズムズしたケツからニョキっと黒い尻尾が生える。
プルプルと震わせた頭からは、ぴょこっと小さな耳が生えるんだ。


智「ったく、いつになったら治るんだコレ」


そんな俺の目の前でアンティークな姿見が光り出す。
淡い光を纏った姿見は、暫らくすると強く眩しい光を放つんだ。


智「はぁ、めんどくさ…」


どうしてこうなったのかは分からない。

分からないけど、黒くて小さな塊に姿を変えた俺は、その光に吸い込まれるんだ。



今日は誰だ。







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