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神様の願い事

第10章 恋人の定義



実はこの人、結構甘えん坊なのかもしれない。


翔「もう寝る?」

智「今何時?」

翔「22時」

智「じゃあまだ寝ない」


いや、駄々っ子の要素があるのか?


翔「疲れてるんでしょ?」

智「だけど寝ない」

翔「何故(笑)」

智「折角和んでるのに、勿体ない」


俺の肩でウトウトしてるくせに寝ようとしないんだ。


翔「勿体ないって(笑) だったらベッドで話そ?」

智「やだ」

翔「どうして?」

智「横になったら寝るから」

翔「じゃあ寝なよ(笑)」


目を擦って目をパチパチして。
必死で眠気を飛ばそうとする姿がなんとも愛おししい。


翔「時間なんて、これからいくらでもあるんだから」

智「だけど」

翔「ほら、ベッド行くよ?」


立ち上がろうとする俺をきゅっと掴んで引き止めた。


翔「智くん?」

智「だけどもうちょっと味わってたい」

翔「へ?」

智「寝てたら分かんないじゃん。翔くんの気配」

翔「気配?(笑)」

智「ん。あったかいの。優しくて、安心する...」


眠そうに潤んだ目で、俺を見上げて。


智「だからもう少し、座っててよ」

翔「わかったよ(笑)」


こんなに甘えん坊だっけ。

今まで見た事の無いような智くんがそこに居て、これこそが恋人の醍醐味なのかと俺は喜びを噛み締めた。


智「ふふ、気持ちいい…」


肩に置かれた頭に手を伸ばして猫耳を撫でてやると、智くんは嬉しそうな声を出した。


翔「擽ったいんじゃないの?」

智「擽ったいけど、翔くんが触ると気持ちいいんだよ...」


目を閉じてうっとりとして。

甘くて柔らかい声を、惜しげも無く出して。


智「ふぁ...」


欠伸さえも、微笑ましく感じてしまう。


智「やば、寝ちゃうなこれ(笑)」


結局ソファーでも寝るんじゃねえか。

智くんとの初めての夜に、俺の緊張感はハンパ無かったけど。

そんな無邪気な声を聞いてしまったらこっちだって和んでしまって。


翔「いいよ。いつでも寝て」

智「まだ寝ないって...」


そんな事を言いながらも後ろに生えた尻尾は俺に巻き付いてるし。

ずるずると身体も沈んで行って、“それ寝る体勢だろ”と思わずにいられない。


まあ焦る事は無いんだ。


俺達には時間なんていくらでも、あるんだから。





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