神様の願い事
第10章 恋人の定義
“入ろ?”とは言っても一緒に入る訳では無くて。
俺はひとりで風呂に入った。
智「う~ん...」
困ったな。キスをするだけで俺の身体が反応を示すようになってしまった。
智「どうするのが正解...?」
このままじゃやっぱちょっとツライ。
いやでも、一応人ん家の風呂だし。
キレイに流すとは言ってもやっぱり申し訳ないし。
智「仕方ない、我慢するか」
てな訳で、俺はくだらない事を思い浮かべなんとか身体を落ち着かせた。
けど、男同士とは言ってもやっぱそうなんだな。
相手が“好き”という事に変わりは無いし、反応するのだって普通の事なんだろうか。
智「みんなどうやって落ち着かせてんだろ...」
相手が女なら何もこんなに悩まなくて済む話なんだけど、なんたって男を相手に恋をしたのは初めてだし。
抱き合って、キスをして。
他に何があるっけ。
あ、そうだ手を繋いで、一緒に寝て。
で?
笑い合って?
智「こんなんでどうやって満足するってんだよ」
いや満足だけど。
一緒のベッドで温もりを感じながら寝るのは幸せだけど。
でも、それだけじゃあ、な。
智「ふぅ、難しいな...」
ガチャッ
智「お先~」
翔「うん」
てオイ。
なんでオマエ服着てないんだ。
智「なんでバスローブ?」
翔「すぐ入れるように準備しといたの」
“しといたの♪”とか乙女か。
んでニコッと笑っていそいそとバスルームへと向かう。
翔「すぐ出るから」
智「いいよ、ゆっくりしてきて」
翔「でも、智くん寝ちゃうでしょ?」
智「起きてるよ(笑)」
“そう?”とか言ってるわりに、やっぱりいそいそと風呂に消えたし。
マジでゆっくりして来い。
折角落ち着いたのにオマエが緩いバスローブを羽織って鎖骨なんて見せてるから。
またドキドキしちゃったじゃんか。
もっかい、くだらない事考えなきゃ。