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神様の願い事

第10章 恋人の定義

《sideS》



大丈夫だ、ドキドキしてるのは俺だけじゃない。


翔「見たか相葉」


“翔ちゃんだけだったりして”とか言うから。
焦ったじゃねえかよ馬鹿野郎。

智くんの上に乗っかった時、智くんの心臓は物凄い音を奏でていた。

唇から苦しそうな吐息を漏らし、身体は熱く火照って。

それを感じ取ると、俺の胸はきゅうっと締め付けられた。


翔「俺だけじゃなかった...」


俺の太腿が硬いものを感じ取った。
それはきっと、智くんの心だ。

実を言うと、キスだけでは治まりがつかなくなってきていた。

男だからとか性欲うんぬんの話では無くて、もっと知りたい もっと愛したい もっと、触れたい。

只素直に、そう思ったんだ。


翔「智くんも…?」


俺はあの人とキスをするだけで、身体が熱くなる。
身体中の血液が沸騰して、ざわざわと疼く。

そうなると当たり前のように身体には変化が起き、いつもそれを隠すのに必死だった。

だって、智くんはそんな事になっていないと思ってたから。


翔「でも、さっきのアレは」


智くんも、明らかに俺と同じ反応を示していた。

という事は、智くんの想いも、俺と同じだという事。


翔「やべ、相葉くんに聞いときゃよかった」


こんな事を考えているだけで鼓動は早まるのに。
俺とした事が予習すらしていないなんて。


翔「どう、するの」


くっそ。スマホを持ち込むべきだった。


翔「欲望のままに...」


じゃなくて。


翔「気持ちのままに、ぶつかるしかない」


きっと受け入れてくれる。
だって俺達は“恋人”なんだ。


ぶっつけ本番は苦手だけど。


だけどやるしかない。


思いの丈を、あの人にぶつけるんだ。





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