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神様の願い事

第10章 恋人の定義

《sideS》



智「ふふ」


俺の反応を見て、智くんは愉しそうに笑う。


翔「っ、は...」


滑るように身体を撫で、暑い息をわざと吹き掛けて。


智「男同士でも、出来るんだね」


目を細めて震えに耐える俺を見ながら、智くんは笑うんだ。


智「ココも」


その妖艶な笑みに射抜かれただけで、俺はわかりやすく反応を示す。


智「触っていいんだよね...?」


疼きを抑えようとしていた筈の智くんが、俺を疼かせようとする。


翔「ぁ、さと...」


服の上からでも見ただけで身体の変化は分かってしまって。
その疼いた部分へと、智くんの手が伸びる。


翔「...っ」


骨ばった手で、ゆっくりと俺を摩って。


智「ふふ、凄いね...」


俺が恥ずかしくなる程に智くんは笑みを零す。

普段は“そんな気”など微塵も見せないのに、我慢をしなくなった智くんは急に俺の上で笑い出すんだ。


翔「っ、ちょ...、ストップ」


この人は急にスイッチが入る。


智「ん?」


俺がリードをしようと思っていたのに、立場は逆転してしまっているし。


智「やっぱ、駄目だった...?」


眉を下げて俺を覗く顔は、少し残念そうにも見える。


翔「駄目じゃ、なくて」


すっかりペースはこの人のものだ。


翔「俺にも触れさせて」


だけど俺も触れたい。


翔「ちゃんと、愛させてよ…」


智くんに触れられて温もりを味わうだけじゃなくて。

俺が自ら、智くんの温もりに触れたいんだ。


智「しょう、く」


俺を摩るその手を掴むと、キラキラと闇に揺らめく瞳と目が合う。


智「ん...」


その首に手をかけ、引き寄せるとすぐに瞳は閉じてしまったけど。


だけどわかる。


掴んだ手首がとても熱い。


引き寄せた首が波打つ程に脈を打っている。


智くんも俺の温もりを欲していたという事が、聞かなくても分かるんだ。





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