神様の願い事
第10章 恋人の定義
智「おねが...、尻尾、さわんないで...」
甘い息を漏らしながら智くんは訴える。
智「身体が、動かなくなるから...」
“これはいいな”なんて思っていたのがどうやらバレたみたいだ。
翔「じゃあ、隠さないでね...?」
智「ん...」
そうだよな。俺の勝手で進めていいような事ではないし。
申し訳ない事をしたかなと頭を撫でてやったら、猫耳をぷるっと震わせ俺にぎゅっとしがみついた。
その行動が堪らなく俺の心臓を掴む。
智「ぁ...」
脱力したとは言ってもそこは熱を持ったままで。
服の上からそっと触れるだけで、ピクッと震えた。
翔「熱い...」
それは物凄く熱を持っていて、布を挟んでいても俺の手はじんわりと熱くなる。
智「ん...」
その温もりを摩ると、智くんの潤んだ目は少し細くなって。
智「っ、ぁ」
小さく、甘い息を吐いた。
翔「智くん...」
さっきの智くんもこんな気分だったのだろうか。
自分の与える刺激によって震えるこの人を見下ろすと、既に持っている筈の欲情が更に煽られて。
智「ん、ぅ」
甘い息を吐くその唇に、思わず貪り付いた。
頭に生えた、俺が触ると“気持ちいい”と言ったその耳を撫でて。
俺の行為に反応を示す、熱く疼いた智くんを撫でて。
智「しょぉ、く...」
俺の上で笑ってた顔なんて、もはや少しも見せられない。
智「...っ、は」
荒くなった呼吸だって、貪る俺の隙をついてするのが精一杯なんだ。
智「ぁ、ふ...」
そんな息を漏らして、そんな顔をされちゃ。
そこらじゅうに吸いつきたくなるのも当たり前だ。