神様の願い事
第10章 恋人の定義
ほんの少し藻掻く智くんを押さえ付け、俺は身体中に吸い付いた。
その合間、智くんは声を必死で殺しているんだろうが絶え間なく甘い息が漏れて。
熱くなった身体には、じんわりと汗が滲んでいる。
翔「汗かいてる...、これ、脱ごうか…」
隙間なく身体を貼り付けていた俺は、離れるのが惜しくてほんの少しの隙間に手を差し込み智くんの下着をジャージ諸共捨て去った。
智「...そっちもだよ。脱いで」
衣類を剥ぎ取られた智くんは少し涼しくなったのだろうか、虚ろだった瞳を元に戻し、俺に訴えた。
翔「っ...」
“わかったよ”と脱ごうとしたのに、それより早く智くんが手を伸ばして。
智「翔くんも、熱い...」
ぎゅっと巻き付けた尻尾で俺を引き寄せ、ジャージの上から疼く俺を掴んだ。
俺の下にいる智くんは、上目遣いで俺を覗き込んで。
腰を尻尾で手繰り寄せ、背を回した腕で引き寄せる。
翔「っ、ぁ」
その手に握り込まれた俺は更に疼きを加速させて。
これじゃまたペースに持って行かれてしまうなと考える余地も無く、智くんは俺の下着の中にまで手を忍ばせた。
翔「さ、さと...っ」
こうなったらもうヤバい。
智「ふふ...」
どうやら智くんは、俺が焦ると喜ぶみたいだ。
翔「ちょ...、待」
智「待たない」
悪戯な笑みを浮かばせ、下から覗き込む智くんは本当に楽しそうに見えた。
智「我慢、しなくていいんでしょ?」
そんな事を言ってる間に俺の衣類も剥ぎ取られ。
智「翔くんばっかり狡いんだよ…」
ゾクッとする程のアダルトな声が、俺の耳を撫でる。
智「知ってたなら早く言えって」
翔「え...?」
智「それなら、こんなに我慢しなくてよかったのに」
ペロッと出した紅い舌で、俺の首を擽って。
智「こうやって触れ合ってもいいんだって、事」
普段なら可愛く聞こえるであろうチュッという吸い付く音も、今は凄く卑猥に響く。
智「早く、教えてくれればよかったんだよ…」
我慢を解き放った智くんは、内に秘めていた心を出す。
焦る俺を引き寄せ、笑みを零しながら喉仏に吸い付いてる。
そんな智くんはやけに無邪気なのに、得体の知れない妖艶さを兼ね備えていた。