神様の願い事
第10章 恋人の定義
この人、本当に猫なのかもしれない。
有り得ないだろと言うくらい素っ気ない時もあれば、今日はどうしたんだと思う程にふにゃふにゃな笑顔を向けてくる時がある。
“エロさの欠片もありません”みたいな顔をしておきながら、繰り出す舌はとてつもなくエロい動きをするし。
ひとりでぼーっとして俺を放置するにも関わらず、急にゴロゴロと甘えてきたりするんだ。
智「っ、は...」
そんな気まぐれな智くんは今、荒い息を吐きながら俺の疼きを誘っている。
翔「智、く」
すっかり裸になった俺達は、ベッドの上で身体を擦り合わせて。
智「ん、ぁ」
キスをしながらお互いを愛撫し合う。
智くんは身体に熱を溜めて、その瞳まで潤んでしまって。
それを見ながら俺は汗を智くんに落とす。
智「ん、翔...」
低くてアダルトで、大人っぽい声で俺をゾクゾクさせると思ったら。
智「ぁ、ふ」
急に甘えた声を出して。
コロコロと変化する智くんは、まるで猫だ。
翔「っ、ぁ、それ、狡...」
智「ふふ...」
眉をしかめて切羽詰まったような顔をしていたのに、急に妖艶な笑みを漏らしたり。
智「っお、れの尻尾、気持ちいいって、言ってたから...」
だからって。
その愛撫でもう破裂寸前なのに、しなやかな尻尾で俺の背を撫で回すんだ。
翔「ぁ、そんなのしたら、駄目だっ、て」
耐えろ。耐えるんだ俺。
まだだ。もっと、もっと見てたいんだ。
智「っ、その顔、やめ...」
必死で耐えていたら、智くんの鼓動が更に激しくなった。
智「エロ、い」
翔「なにが...」
智「その顔、見たらも、俺...」
呼吸は益々荒くなって、俺を握り込む手にも力が籠る。
智「駄目な、んだっ、て...」
智くんの愛撫に合わせて、俺も力を込めた。
智「っあ、ぁ」
すると、握った智くんはドクンと大きく膨らんで。
智「も、イッ...」
その言葉で、俺の疼きも心臓と同時に大きく跳ねた。
智「っ、はぁ、はっ...、ぁ...」
こんなに乱した呼吸、今まで聞いた事があっただろうか。
その初めて聞く呼吸に、俺は幸せを感じたんだ。