神様の願い事
第10章 恋人の定義
《sideS》
翔「智くん? どうしたの?」
電話が掛かってきた。
翔「鏡? うん、まだついてるけど」
その言葉を聞くと、“そっか”なんて溜息混じりの声を出した。
智『…ちょっと、切るわ。試したいから』
翔「へ? なにを」
聞いているのに智くんはガチャリと一方的に電話を切ってしまった。
なんだ。なにが起こったんだ。
試すって、なんだ。
ガタタッ
翔「へ」
誰も居ない筈の寝室の方から物音が聞こえる。
俺は肩を竦ませてそのドアを振り返った。
ゴト…
翔「な、なに」
ひたひたと、足音のようなものが聞こえて。
ついには、ガチャリとドアノブが回転した。
翔「…っ」
開いたドアの隙間から人影が見えた。
その事に恐怖を感じた俺は、更に肩を竦ませる。
智「翔くん…」
ビビリまくっていたのに、そこから覗いた顔は智くんで。
俺はホッと胸を撫で下ろす。
翔「あ、智くんか…」
驚かさないでよ、なんて笑ったのに智くんはあまり笑わずに。
ほんの少しの笑みだけ零して俯くんだ。
智「なんでだろ…」
翔「なにが?」
智「なんで、まだこの鏡使えるんだろって、思って…」
翔「あぁ、確かに…」
猫化が治ったということは、“本当の幸せ”を見つけたという事で。
それならおのずと鏡の役目も終わったという事になる筈だ。
智「ね、なんで?」
首を捻る俺に智くんは歩み寄って。
智「教えて…」
その智くんと目が合ったら、智くんは既に俺の首に手を掛けていた。
翔「ん…」
“教えて”と言うわりに俺の言葉を封じ。
智「唇、開けて」
すぐさま、熱い舌を捩じ込んでくる。
翔「どうし、た」
俺の咥内にいる智くんは既に夢中で、顔を傾けて俺に食らいつく。
智「キス、したかっただけだよ…」
その声が何故かせつなく聞こえて。
智「翔くん…」
あっという間に俺の胸は熱くなるんだ。
その言葉に応えようと、その声を慰めてやろうと。
翔「なにか、あったの…?」
こんなに熱いくせに、何も言わず。
智「なんも、ないよ」
只ひたすらに唇を重ねる。
隠すその想いに、俺は応えきれるだろうか。
翔「智くん? どうしたの?」
電話が掛かってきた。
翔「鏡? うん、まだついてるけど」
その言葉を聞くと、“そっか”なんて溜息混じりの声を出した。
智『…ちょっと、切るわ。試したいから』
翔「へ? なにを」
聞いているのに智くんはガチャリと一方的に電話を切ってしまった。
なんだ。なにが起こったんだ。
試すって、なんだ。
ガタタッ
翔「へ」
誰も居ない筈の寝室の方から物音が聞こえる。
俺は肩を竦ませてそのドアを振り返った。
ゴト…
翔「な、なに」
ひたひたと、足音のようなものが聞こえて。
ついには、ガチャリとドアノブが回転した。
翔「…っ」
開いたドアの隙間から人影が見えた。
その事に恐怖を感じた俺は、更に肩を竦ませる。
智「翔くん…」
ビビリまくっていたのに、そこから覗いた顔は智くんで。
俺はホッと胸を撫で下ろす。
翔「あ、智くんか…」
驚かさないでよ、なんて笑ったのに智くんはあまり笑わずに。
ほんの少しの笑みだけ零して俯くんだ。
智「なんでだろ…」
翔「なにが?」
智「なんで、まだこの鏡使えるんだろって、思って…」
翔「あぁ、確かに…」
猫化が治ったということは、“本当の幸せ”を見つけたという事で。
それならおのずと鏡の役目も終わったという事になる筈だ。
智「ね、なんで?」
首を捻る俺に智くんは歩み寄って。
智「教えて…」
その智くんと目が合ったら、智くんは既に俺の首に手を掛けていた。
翔「ん…」
“教えて”と言うわりに俺の言葉を封じ。
智「唇、開けて」
すぐさま、熱い舌を捩じ込んでくる。
翔「どうし、た」
俺の咥内にいる智くんは既に夢中で、顔を傾けて俺に食らいつく。
智「キス、したかっただけだよ…」
その声が何故かせつなく聞こえて。
智「翔くん…」
あっという間に俺の胸は熱くなるんだ。
その言葉に応えようと、その声を慰めてやろうと。
翔「なにか、あったの…?」
こんなに熱いくせに、何も言わず。
智「なんも、ないよ」
只ひたすらに唇を重ねる。
隠すその想いに、俺は応えきれるだろうか。