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神様の願い事

第10章 恋人の定義




智「っは、ぁ、翔くん」


瞳を潤ませる智くんは、今日も俺の下にいる。


智「ね、出てる…?」

翔「なにが…?」

智「耳、と、尻尾」


甘い息を吐いて、俺の熱を握りながら智くんは聞く。


翔「出てないよ。触りたかったけど、もう触れないね…」

智「そ、っか…」


この熱を分け合う最中、そんな事を聞いてくる。
その質問が不思議で、俺は智くんを摩る手を止め聞き返した。


翔「治ったんだよね…?」


すると、智くんの手の動きもピタッと止まって。
俺をチラッと見た。


智「あんまり気持ちいいから、出てるんじゃないかなって…」


ふふっと笑みを零す瞳は揺らめいて。


翔「なんだ、そっか…」


その瞳は熱のせいで揺らめいたのか、誤魔化したから揺れたのか。


智「だから、やめないで」

翔「っ、さと…」


そんな事を考えていると、智くんの手はまた動き出した。


翔「っ、は…」


その刺激に耐える俺を、熱の篭った目で見上げて。


智「ぁ、翔…」


潤んで揺れた目を、そっと伏せた。


伏せた瞳の隙間からは、やっぱりキラキラと光る熱が見えて。
食い縛っていた口元も緩んで甘い息を吐く。


智「はぁっ、ぁ」


とうとう眉も歪み出して、俺の与える刺激に魘されている事が手に取るように分かってしまうから。

だから、俺は智くんを絶頂へと導くんだ。


智「んっ、ぅ…」


すると、それに合わせて智くんも俺を煽るから。


翔「智、く」


身体中から熱を放ち、俺達は息を合わせる。

二人でタイミングを見計らうように、同じリズムで呼吸をして。


智「っま、だ、駄目」


だけど今日は。


智「まだ、イッちゃ駄目だよ…」


限界に達する寸前で、智くんは手を緩めた。


翔「智くん…?」


俺の手の中で、早く熱を放ちたいと主張しているのに。


智「もっと、愛したいから」


疼く熱を無視して智くんは俺にキスをする。


智「ん、ぁ…」


キスをするだけで、俺の手の中でビクビクと疼いていると言うのに。


翔「じゃあ、俺も我慢する」


互いの熱を擦り合わせ、しっかりと抱き合いながらキスをした。


我慢をさせた身体は疼いて仕方ないけど。


だけど不思議なもので、熱を放つという行為は同じなのに、時間をかけただけで満足感が増したんだ。




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