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神様の願い事

第10章 恋人の定義




どストレートに本音を晒したら、ニノがひいた。


和「足りないって、なに」


別に不満があるとかそう言う訳じゃなく。


智「そのままだよ」

和「そのままって…」


不完全燃焼というか、なんというか。
なんかもっとこう、こう、なんて言うんだ。


和「…つかぬ事をお聞きしますが」

智「ハイ」

和「アンタあれでイッたりする?」

智「へ?」


イカないとかあるの?


智「え、お前は?」

和「俺はまだ、ソッチだけじゃ…」


なんだ“ソッチ”てのは。


和「いや、気持ちイイよ? 最近はね?」

智「うん?」

和「けどやっぱイク時はさ、アッチの刺激が必要でさ」


今度は“アッチ”が出た。


和「だからさ、ソッチも適度に気持ちよくて、アッチも刺激して貰ってる訳だから」

智「うん…?」

和「結局はもうだいぶ気持ちイイわけ。だからさ、終わったら俺もぅヘロヘロな訳よ」

智「ん」

和「だからさ、その“足りない”ってのが、わかんないの」


俺はお前の話がわからんが。


和「ソッチでイケたら、俺もっとヘロヘロになるんじゃ…」


“考えただけで怖い”とニノは身震いをしたけど。
どうやら俺の考えている事と、ニノの話している内容は違うようだ。


智「え、お前なに言ってる?」

和「へ? だから」


身を乗り出して、ニノの返事を待った。
その時、松潤の声がした。


潤「準備出来たって。スタンバイするよ」

和「あ、はーい」


その松潤の声にかき消されたニノの声は、うっすらだけど俺の耳に届いたんだ。


“sexだよ”


その唇は、その声とリンクして同じように動いたし。
聞き間違いでは無い筈なんだ。


智「sex…?」

和「こらっ」


人に聞かれちゃいけないと、俺の唇を手で塞ぐニノは辺りをキョロキョロと見回す。


智「sexて、え…?」


またギュッと押さえたけど。


だけど俺の疑問は膨らむ。


たぶん考え始めたら、その疑問は益々膨らむんだ。





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