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神様の願い事

第10章 恋人の定義

《sideS》



雅「でさでさ、コレなんだけどさっ」

翔「ぶほっ」


マッハで仕込んでくれた鍋を皆でつついていた。
そんな俺の目の前に、相葉くんは何やら小ビンを差し出した。


和「メシ食ってる時にそんなモン出すなよっ」


そんなモンと言うソレには、とろりとした液体が入っていて。


潤「それってローション?」


そう。明らかにソレだった。


雅「いいじゃん別に。まだ未開封なんだから」

和「そんな問題じゃねえだろうよ」

潤「ちょっと見せて」

雅「うん」

和「潤くんまで…」


“開けていい?”と聞く松潤は、相葉くんの返事を聞くなり封を破った。


潤「うわすげえ」

雅「でしょ?」

潤「トロットロだ」

雅「でも、専用のはこれよりスゴいんだって」

潤「そうなの?」


やばい。皆コッチを見た。


翔「え? え~と…」


相葉くんの目は“そうなんだよね?”と言っているし、キョトンとした瞳の松潤は“そうなの?”とかなり無垢だ。


和「…これより、トロみがあるって事?」


相葉くんの暴走を制止する役目のニノまでもが俺を見る。


翔「いや、実は俺…」


もう駄目だ。耐えられない。


翔「使ってないんだよね」


皆の期待には応えられないんだ。


雅「え?」

潤「使ってないの?」


だから頼む。そんな純粋な目で俺を見ないでくれ。


潤「使わないで、出来るモンなの…?」

雅「いや…」


でも俺は使ってないんだよ。


翔「使ったこと無い」

潤「え、一度も?」

翔「うん」

和「それなのに、なんとも無かったの? カラダ」

翔「うん… ていうか、どんなタイミングで使うのそれ」


その一言に、“は?”なんて顔をして皆に見られるし。


和「鬼だな」

潤「どこが優しいんだよ」


更には軽蔑の眼差しで俺を見た。


雅「まさか翔ちゃん」


相葉くんはそんな顔をしてなかったけど。


雅「最後までは、シテないの?」


だけど真顔だ。
真顔で、少し心配そうに俺を覗いた。


翔「最後、って…?」


その皆の顔に“やっちまった感”を覚えたが、うっかりオウム返しをしてしまった。


皆が一斉に怪訝な顔をする事も予測出来たというのに俺は。


咄嗟に、疑問を投げかけてしまったんだ。




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