
神様の願い事
第11章 オトコの役割
《sideS》
智くんが居ないだと…?
いや居ない訳では無い、連絡か取れないだけだと。
「櫻井さん、次移動です」
翔「はい」
仕事前に松潤に連絡を貰い、俺は速攻で智くんに電話をかけた。
だがそれは、呼出音は滞りなく鳴るのに智くんは一向にでなかった。
翔「どこ行ったんだ…」
「はい? なにか?」
翔「あ、いやなにも」
早く智くんを探しに行きたいのに俺の仕事はまだ終わらない。
撮りきれてなかったレコーディングを今日中に終わらせなければいけないんだ。
翔「くぅぅぅっそっ!」
「えっ? ど、どうしましたっ?」
翔「あ、いやこっちのハナシ」
「はぁ…」
こんな事ならこの間余裕ぶらないで全て撮りきっておけばよかった。
だってレコーディングを終えた智くんが暇そうにしてたし、“次回で全部イケるよ”なんてカマして俺も少し余裕を見せたかったんだ。
ああ、でも今となっては後の祭りだ。
今日は速攻で終わらせて、智くんを探しに行かなきゃ。
ガチャリ
「んにゃ」
翔「ん?」
レコーディング室に向かう前に一応用意しておいてくれている楽屋へ入った。
案の定ここには誰も居ない。
「にゃおぅん」
だけど何故か聞こえる謎の音。
「にゃぉ…」
どうやらソファーから聞こえるようだ。
翔「猫…?」
ソファーに歩み寄って見れば、そこからチラリと覗く尻尾。
翔「まさか」
黒いんだ。
その覗いた尻尾は黒くて、“にゃおぅん”なんて鳴き声も素晴らしく可愛らしい。
翔「さっ、智くんっ!?」
「にゃ?」
ソファーの背凭れを掴み、前に回り込む。
するとそこには黒くて小さな塊が、蹲って俺を見上げた。
翔「どうしてまた猫に……」
それを見つめ愕然とする俺に、智くんは首を傾げるんだ。
「んにゃ?」
翔「智くん…」
まぁるい目で俺を見上げて、“どうしたの? 何かあった?”とでも言いたげだ。
翔「…大丈夫だよ。俺が、ついてるからね」
頭を撫でてやると、安心したように目を閉じる。
目を閉じて、自ら頭を俺の手に擦り付けて。
翔「マーキングでしょ? ふふ、いっぱいしていいよ」
猫になったって智くんは愛情表現をする。
俺を待ってたんだと、来てくれて良かったと、小さな身体で精一杯表現したんだ。
智くんが居ないだと…?
いや居ない訳では無い、連絡か取れないだけだと。
「櫻井さん、次移動です」
翔「はい」
仕事前に松潤に連絡を貰い、俺は速攻で智くんに電話をかけた。
だがそれは、呼出音は滞りなく鳴るのに智くんは一向にでなかった。
翔「どこ行ったんだ…」
「はい? なにか?」
翔「あ、いやなにも」
早く智くんを探しに行きたいのに俺の仕事はまだ終わらない。
撮りきれてなかったレコーディングを今日中に終わらせなければいけないんだ。
翔「くぅぅぅっそっ!」
「えっ? ど、どうしましたっ?」
翔「あ、いやこっちのハナシ」
「はぁ…」
こんな事ならこの間余裕ぶらないで全て撮りきっておけばよかった。
だってレコーディングを終えた智くんが暇そうにしてたし、“次回で全部イケるよ”なんてカマして俺も少し余裕を見せたかったんだ。
ああ、でも今となっては後の祭りだ。
今日は速攻で終わらせて、智くんを探しに行かなきゃ。
ガチャリ
「んにゃ」
翔「ん?」
レコーディング室に向かう前に一応用意しておいてくれている楽屋へ入った。
案の定ここには誰も居ない。
「にゃおぅん」
だけど何故か聞こえる謎の音。
「にゃぉ…」
どうやらソファーから聞こえるようだ。
翔「猫…?」
ソファーに歩み寄って見れば、そこからチラリと覗く尻尾。
翔「まさか」
黒いんだ。
その覗いた尻尾は黒くて、“にゃおぅん”なんて鳴き声も素晴らしく可愛らしい。
翔「さっ、智くんっ!?」
「にゃ?」
ソファーの背凭れを掴み、前に回り込む。
するとそこには黒くて小さな塊が、蹲って俺を見上げた。
翔「どうしてまた猫に……」
それを見つめ愕然とする俺に、智くんは首を傾げるんだ。
「んにゃ?」
翔「智くん…」
まぁるい目で俺を見上げて、“どうしたの? 何かあった?”とでも言いたげだ。
翔「…大丈夫だよ。俺が、ついてるからね」
頭を撫でてやると、安心したように目を閉じる。
目を閉じて、自ら頭を俺の手に擦り付けて。
翔「マーキングでしょ? ふふ、いっぱいしていいよ」
猫になったって智くんは愛情表現をする。
俺を待ってたんだと、来てくれて良かったと、小さな身体で精一杯表現したんだ。
