
神様の願い事
第11章 オトコの役割
呆れられはしたが、“ちょっと頼む”とか言われた俺は“リーダー”と遊んでいた。
「にゃにゃっ」
雅「いてっ、いててて」
和「すんごい引っ掻かれてんじゃん(笑)」
本当にリーダーか、コイツ?
雅「ねえ、やっぱ違うんじゃないの? 全然懐かないんだけど」
和「でも翔さんには懐いてたじゃん。俺にも懐いてるし」
まあそうなんだけど。
雅「でもそれにしたってさぁ…」
「にゃっっっ」
雅「いででででっ」
この引っ掻きよう、全く愛を感じられない。
和「連絡取れないんだよ? そんな事普通じゃ考えられないじゃん」
雅「まあ、それはおかしいけど」
和「だからやっぱりこの猫が、大野さんなんだよ」
そう考えるのが妥当だとニノは言う。
雅「だけどなんか顔がなぁ…」
ガチャッ
翔「悪い! おまたせ!」
和「終わったの?」
翔「うん、全部やってやった!」
まだ数曲残っていただろうに、翔ちゃんは物凄い早さでレコーディングを終えてきた。
翔「智くん。お腹、空いてない?」
朝から行方不明だったんだ、きっと何も食べてない筈だと翔ちゃんは“リーダー”を覗き込んで心配そうに言った。
「にゃぁ」
翔「ふふっ、なんか買って帰ろっか」
すると会話が通じたのか“リーダー”は甘えた声を出し、翔ちゃんはそっと懐に“リーダー”を抱いた。
和「え、どこいくの?」
翔「連れて帰る」
和「…大野さん明日仕事でしょ?」
翔「だから、それまでになんとかする」
和「なんとかって」
翔「この間も朝起きたら戻ってたんだ。だから今日も、俺が一緒に寝るよ」
和「戻らなかったらどうすんの…」
ちらりとニノを見てみれば、唇を尖らせて指を弄ってた。
心配で堪らないんだろう、その声は少し拗ねたようにも聞こえる。
雅「…あっ、翔ちゃんコレ」
翔「ん?」
雅「この間注文したやつ。届いたからさ」
それが本当にリーダーなら、早く戻って貰わないとニノの心配は尽きないし。
だからこれで元に戻せと、翔ちゃんの手に握らせたんだ。
なのに。
翔「バカか。相手は猫だぞ」
雅「あ、そうだった…」
確かに猫には無理だ。
和「はぁ…」
もぅなんでもいいから早く戻してやってくれ。
ニノの溜息は麗しいけど、俺の胸が苦しくなっちゃうだろ。
