
神様の願い事
第11章 オトコの役割
睨み付ける目と、潤んだ瞳。
翔「俺が買ったんじゃないよ」
その眉はどんどん歪んでいく。
翔「貰ったんだよ。プレゼント包装だったでしょ?」
智「…っ、ぁ」
小さな息を漏らせば、その胸はドクンと高鳴り頬の赤味が増す。
智「ん、貰った、の…?」
翔「そうだよ?」
智「自分で、買ったんじゃなく、て…」
翔「だから言ってるでしょ。誤解だって」
漸く俺の言葉が届いたのか、智くんの手から力が抜けた。
智「ぁ、は…」
俺の髪から手を滑り落とし、起こしていた上体をベッドに投げ出した。
ドサッと落ちた身体は沈み込んだかと思えばすぐに波打って。
智「ん、ふ…っ」
翔「ね? 苦しくないでしょう?」
智「だ、だけど…、っ」
まだどこか半信半疑なのか、素直に誤解を解こうとしない。
翔「疑わしいとこ、他になんかある…?」
そんなに眉を歪ませて、潤んだ瞳で俺を見ているくせに。
翔「好きだからだよ」
食いしばっても、その隙間から吐息が漏れるくせに。
翔「貴方の事が好きだから、こういう事するんだよ…」
誰でもかれでも“いい人だ、悪いヤツじゃないよ”とか言うくせに。
どうして俺の本音はすぐに信じない?
智「ぁ、あっ、しょ…」
ほら、俺に触れられて熱が疼いているじゃないか。
智「っ、も、離…」
硬さを増す智くんは張り詰めて。
翔「いいよ」
歯を食いしばって耐えるから、言ってやったんだ。
翔「そのまま、イッて…」
その言葉で、俺の咥内にいる智くんはグッと膨らんだ。
智「ん、く…っ」
耐えきれずに、その熱を放ったんだ。
智「っ、は、はぁっ…」
どうして離さなかったんだと、ほんの少しの怒りと呆れを含んだ瞳をして。
翔「好きでしょ? 俺の事…」
なのに、俺の心が疼くような甘い吐息を聞かせてくるんだ。
翔「俺は、好きだよ」
薄く開いた口から言葉なんて出さなくても、その吐息は正直なんだ。
翔「貴方しか見てない…」
その潤んだ目だって素直だ。
まぁるくしたその目で、とても愛おしそうに俺を見るから。
だからこんな事ができるんだ。
嫌がる振りなんて、俺には通用しないんだから。
