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神様の願い事

第2章 秘密

《sideN》



翔さんが固まってた。

見慣れた背中があったから挨拶をしようと静かに近付いたのに、俺の気配なんて全く気付かずに1点を見つめたまま目の前のドアに集中していた。


智「…から、駄目だって…」


その楽屋のドアの奥からは聞き慣れた声が漏れている。


潤「可愛いよ」


少し困った様な大野さんの声と、余裕たっぷりの潤くんの声。


智「潤…」

潤「ふふっ」


周りに誤解を与えそうなその会話は、明らかにいちゃこらしている様に聞こえる。

普段は潤なんて呼ばないくせに、二人きりの楽屋で潤と名を呼んでいるんだ。

翔さんが固まるのも無理が無い。


智「も… 駄目だって。皆来ちゃうだろ…」

潤「え~…」


低いトーンで子供を嗜める様に大野さんは話す。
そのガラッと変わった雰囲気にドキッとするのは、きっと俺だけじゃない。

普段聞かせないその大人な声に、翔さんもハッと目を見開いたんだ。


潤「可愛いのに…」


拗ねた様に話す潤くんの声も、大野さんに甘えているという事が分かる。

こんな声が聞こえてきたら、そりゃ俺だって聞き耳を立ててしまうだろう。

だけどね、俺は変な考えはしない。

潤くんはああ見えて結構甘えん坊だから、何か大野さんを困らせてるんだろう。

結局は無邪気にじゃれてるだけなんだ。


雅「なにしてんのっ」

和「あ、おはよ」


急に来た相葉さんのデカイ声に翔さんがビクッとなった。


翔「び、びっくりした…っ」

雅「おはよ翔ちゃん。で、なにしてんの?」


翔さんは、きょとんとする相葉さんに返事を出来ずに困った顔を見せる。


翔「あ、いや別に…」


ガチャッ


雅「おっはよ~っ」

翔「あっこら相葉っ」


勢い良く楽屋に飛び込んで行く相葉さんの手を掴み損ねて、翔さんはよろける。


和「ふふっ」

翔「な、なに?」

和「や、 さあ、入りましょう」


でも翔さんは真面目だから。

きっとあの会話を真に受けて、ドアの前で色々と思い悩んでたんだろう。


智「どしたの翔くん、大丈夫?」


ほら、よろけた自分に笑顔で手を差し伸べる大野さんを見て固まってる。


いつもいつも、考え過ぎなんだよな。







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