
神様の願い事
第11章 オトコの役割
智「おはよ~」
一大決心をしたその時、呑気な声を響かせ智くんがやって来た。
和「おはよ」
智「どした? 皆で輪になって(笑)」
潤「ちょっと世間話をね」
智「ふぅん?」
“そうなの?”とチラリとこっちを見る智くんはどこか気怠い。
翔「あ、まぁ…」
その気怠そうな顔に、昨晩の情事が蘇った。
智「ん? どうかした?」
見とれていた。一瞬で俺は、智くんに見惚れたんだ。
雅「ほらあれ」
潤「やっぱ無理なんじゃない?」
智「なにが?」
見惚れている俺を放置し、智くんは皆の方へ向き直る。
和「ね、翔さんて二人でいる時どんな感じ?」
智「へ」
雅「オトコっぽいの?」
智「あ~…」
小さな口を丸く開け、目ん玉をキョロっと天井に向けて考える。
そんな唇ですら愛おしくて。
今すぐ抱きしめたい、そんな衝動に駆られる。
智「ん、たまにオトコマエだよ」
潤「たまに?」
智「それ以外は」
和「うん?」
智「可愛いんだよね」
雅「へ、可愛いの?」
智「そう(笑) なんかね、笑っちゃうんだよ。結構可愛いことあるんだよね」
和「へぇ~…」
俺の事を話す智くんも愛おしい。
柔らかい表情で、クスクス笑いながら話すんだ。
潤「…なんか無理っぽくね?」
雅「ほらみて。翔ちゃんほっぺ赤い」
和「どうせ思い出してんだろ。昨日の事」
智「へ? 昨日の事?」
雅「さっき聞いてたんだよね」
智「あ、もぅ…」
呆れた溜息を吐く智くんだって綺麗だ。
どこか麗しいというか、なんというか。
智「しょおくん?」
ぽてぽてとこちらに歩み寄って、腰を屈めて座る俺の目線に合わせる。
智「駄目だよ? そんな事話しちゃ」
まるで子供を窘めるように、優しい声で。
智「聞いてる?」
翔「う、あ、はい」
ハッと我に返り、パチッと瞬きをしたらそれはもう柔らかい笑顔が飛び込んできて。
智「俺だって恥ずかしいんだから…」
照れくさそうに伏せたその目も、堪らなく綺麗だ。
そんな人を猫にするなんて勿体無いにも程がある。
翔「俺が、救う」
智「へ」
こんな人を、抱きたいと思うのは当たり前の事だったんだ。
智「なんの話を…」
大丈夫。俺が抱く。
俺が抱いて、貴方を救ってみせるよ。
