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神様の願い事

第11章 オトコの役割

《sideO》



「待ってたよ」


その男は爽やかな笑みを見せる。


「シュミレーション、出来た?」

智「少しなら…」


部屋に一歩入っただけの俺の肩に手をかけ、“こちらへどうぞ”と言わんばかりにエスコートする。
まるで彼氏気取りだ。


「まだ緊張してる?」

智「そりゃ、そんなすぐには…」


誘導された先に座ると、その男はきゅっと俺の肩を掴み、サラリと頬を撫でた。


「…俺に任せてくれればいいからね」

智「はい…」


翔くんには会えなかった。
会いたかったけど、やっぱり無理だった。


「気持ちの準備が出来たら言って。俺はいつでもいいから」


これをクリアするまでは、顔を見られなかったんだ。


智「もう、出来ました」


クリアしたとしても、見られるかどうか。


智「よろしくお願いします」


何も伝えてないし。
黙ってた事、また怒るんだろうし。


「…じゃあ、ベッド行こうか」



ごめんね翔くん。



翔くんが悲しむかなと思ったら、どうしても言えなかったんだ。









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