
神様の願い事
第11章 オトコの役割
智「ぁ…」
白く光るふわふわなシーツ。
「ん、いいよ。力抜いて」
そのシーツに埋もれるように俺はベッドに沈む。
「大丈夫。緊張しなくていいから」
そんな事を言われても。
初めてだし、緊張するのが当たり前というもので。
智「ふ…」
「あ… ひょっとして、敏感?」
智「違…、息が、擽ったくて」
俺の耳を撫でるような息が、ゾクッとして堪らなくて。
武者震いを“擽ったいから”と誤魔化した。
「だったらやっぱり、敏感なんだね」
だから違うって。
嫌そうな顔にならないよう、俺は必死なんだ。
「ほら、ちゃんと俺の事好きになってくれなきゃ」
そんな事を言われてもだな。
まだ2回しか会ってないのに無理だってハナシなんだ。
「シュミレーションしてきたんでしょ? 俺の事“恋人”だって思ってくれなきゃ終わらないよ?」
だからなんだそのコンセプト。
こんなの一体誰に需要があるってんだ。
カ「あ~いいね」
俺が心の中で葛藤しているというのにこの呑気なカメラマン。
カ「ちょっと顎、上げてみようか」
智「こう、ですか?」
カ「そうそう… で、後頭部を枕に埋もれさせるカンジで」
智「こ、こう…?」
カ「あー、いいね!」
なにがいいんだ。
「俺、適当に動いていいですか?」
カ「そうだね。ヤッちゃって」
おいマジか。
「ボタン、外すよ?」
おいこら。俺の同意を得ていないだろうが。
カ「うん、いいね! 色っぽいよ」
勝手に脱がすな。
俺は服は脱がないってあれ程言っただろう。
智「ちょ…、やりすぎなんじゃ…」
「大丈夫だよ。これくらいの方が絶対いいから」
誰のサジ加減だ。
だから嫌だったんだこんなグラビア。
この間の打ち合わせでも散々嫌だと言ったのに。
どうしてくれるんだマネージャー。
こんなの絶対、翔くんに言えないじゃんか。
