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神様の願い事

第11章 オトコの役割




智「あぁ… 疲れた…」


“ちゃんと役に入ってきてね”と言われてたから、“はぁ?”とは思ったけど気を持ち直した。
とっとと撮り終えたかったし、なんとか乗り越えたんだ。
おかげで俺は精魂尽き果てた。


ホテルの部屋を出て、ロビーに差し掛かると何やら影から視線を感じる。


和「おーのさん」


身長もさほど変わらないのに上目遣いで唇を尖らせる。
この表情は、何か不満のある時の顔だ。


智「ニノ…?」

和「なにしてるの? こんなとこで」

智「や、俺はちょっと… ていうか、お前こそどうしたんだよ」

和「俺は、相葉さんの代わりに下見しに来ただけで…」


何でもない理由で来ただけのニノは、俺を真っ直ぐ見つめて目を逸らそうとしない。


和「さっきの、誰? なにしてたのよ、部屋なんかで」

智「え…」


あ、見られてたのか。


智「何って… 仕事だよ」

和「こんなとこで?」

智「そ。こんなトコで」


なんだ。疑ってんのか。それなら、その表情もわかるな。


智「雑誌のね、グラビアだよ」


って説明しても直んないのかその顔。


和「それだけ?」

智「だけだよ?」

和「だけなのに、翔さんに会わないのはなんで? 何か後ろめたい事があるんじゃないの?」


やっぱりコイツは鋭い。
俺のメンタルなんて筒抜けだ。


和「イイ男だったもんね…」

智「は?」

和「優しそうだったし、惚れちゃった?」

智「んな訳無いでしょ。俺別に、男好きじゃないよ?」

和「だったらなんで」

智「なんで?」

和「そんな、気怠い顔してんのよ…」

智「へ」

和「なんか今のアナタ、すっごいエロい顔してる…」


気怠いんじゃなくて、普通にダルいだけだし。
エロい顔かどうかは知らないが、疲れた顔はしてると思う。


和「潤くんがね、言ってたんだよ」

智「なにを」

和「“今頃教えられてるかもね”って…」


あ。それか。


智「まぁ、教えては… 貰ったけど…」


だってずっと気になってたし。


和「聞くけど、何、を?」

智「だから、アレだよ。男同士の、sex…」


お前が言ったんじゃねえか。
sex出来るって。


そんなの言われちゃそりゃ気になるし。


だから、知らない事を教えて貰っただけだ。






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