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神様の願い事

第11章 オトコの役割

《sideS》



智くんを抱いて眠る。

今回は本当に生身の智くんだ。


翔「ふぅ…、なんか、安心する…」


隣に転がると、つい触れたくなって。


智「うん…」


そっと手を伸ばすと、頭をクイッと上げたから。
そこに腕を差し込んでぎゅっと抱き締めた。


智「ふふ、腕枕じゃん(笑)」

翔「嫌?」

智「やじゃないけど、なんか不思議だなって(笑)」

翔「不思議?」

智「なんか擽ったいって言うか、ヘンな感じ」

翔「へ、ヘン?」

智「だって普通オトコってそっち側でしょ? 俺、こんな扱いされた事無いよ(笑)」

翔「い、嫌…?」

智「だから」


クスクスと腕の中で笑う智くんは甘い香りがする。
柔らかくて優しくて、とても甘い香り。


智「やじゃないって(笑)」


そんな香りを漂わせて俺の首元に顔を埋める智くんはまるで女のコのようだ。

クスクスと笑う度に揺れる髪が擽ったくて愛おしくて。


翔「抱き潰したい…」

智「へ?」


きゅっと抱き締めるなんて可愛いもんじゃ済まされない。
もっと、もっとぎゅゅゅうっと、力いっぱい抱き締めたくなるんだ。


智「んぷっ、しょ、苦し」

翔「あ」


思ってただけなのに力が勝手に入ってしまった。


智「死んじゃうだろ(笑)」

翔「ごめ」


ぷはっと息を吐いた智くんは少し頬を膨らませるけど。


智「殺すなよな。もっとずっと一緒に居たいんだから」


とか言う。


翔「え…」

智「…なんだよ」

翔「ちょ、今のもっかい聞かせて」

智「はぁ?」


嫌だとゴネる智くんは絶対言わないんだ。


智「んも~うるさい」


ほらな。分かってたし。


智「もう寝るから暗くして」


照れた智くんは素直じゃない。
俺にくるっと背を向け布団を被ってしまった。


翔「俺も入れて」

智「勝手に入れ」


電気を切ってベッドに戻ると、布団をすっぽり被った智くんはまだ照れていた。


翔「はい」

智「ん?」

翔「腕枕。いいでしょ? それくらい」

智「ん…」


だけどやっぱり頭をクイッと上げてくれる。


智「潰すなよ?」

翔「わかってるよ(笑)」



今日は、いい夢が見られそうだ。






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