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《sideO》



「なぁ、まだ治らんかの？」


あれからじいちゃんは毎晩聞いてくる。


「泊まりには、行かんのか？」


俺が自分の家に普通に帰ると、もう帰ってきたのかとガッカリするし。


智「明日早いんだよ。今日はすぐ寝たいの」

「はぁ、そうか…」


溜息まで吐く始末だ。


「聞くがお主、性欲は普通にあるよな…？」

智「はぁ？」

「いや毎日毎日こうキチンと帰ってくると、ワシも少し不安になっての」


なんの心配をしてるのやら。


「いやまぁワシもそれ位の頃は毎日元気だったし大丈夫か」

智「はぁ」

「ああそれに！ “翔くん”がマタタビのようだと言ってたくらいじゃから心配無いなっ」


俺の健康状態を気にするじいちゃんは、俺が元気だと分かるや否や安堵の溜息を漏らした。


「だとしたら早く治せ。今すぐ治せ」

智「だから今日は早く寝るんだって…」

「治し方、もう気付いてるんじゃろ？」

智「っ、知っ、てても！ 今日は無理なの！」

「なんで。オンナノコじゃあるまいし」

智「てか、分かってても分かんない事もあるんだって！」

「へ？」


顔は見えないけど、アホみたいな顔してるんだろうな。
ポカンとして、口を開いてるに決まってる。


智「だっ、から…、その、どっちが、どっちとか」

「どっちがどっち？」

智「～だぁからぁっ、いろいろあるんでしょっ？ オトコとオンナみたいに決まって無いじゃんか」

「ああ」


やっと通じたのか俺の苦悩が。


「そんな事気にしておったのか」

智「そんな事って、大事な事だろ」

「んなの、ヤッてみなけりゃわからんじゃろ」

智「は」

「その時にならないと、分からないじゃろうと言っておる」

智「ええ…」


じいちゃんはこう言う。

とにかく、悩んでいても何も変わらないと。
行動あるのみ。
行き当たりばったり。
当たって砕けろ。いや、砕けるな。

取り敢えず、翔くんなら何が起きても大丈夫だと言う。


智「やけに翔くんの事信頼してるね…」

「ん？ そうかの？」


俺の知らないところで翔くんに会ってたりするんだろうか。


とにかくじいちゃんは、翔くんを信頼しているんだ。