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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう




智「さ、帰ろ…」


腕を外した智くんはパチッとひとつ瞬きをして、気分をリセットし始める。


智「…翔くん? どうかした?」


それを見ている俺はなんのリセットも出来ず。
ギギッとシートを戻そうとする智くんの手を、咄嗟に掴んでしまった。


智「え、なに…」


驚いて目を丸くする智くんを見る。
すっかりリセットしたような気でいるんだろうが、間近でその瞳を覗くとまだ熱が残っているんだ。


翔「…治してあげるから」

智「え…?」


その熱は瞳だけじゃなくて、身体中に回っているんだ。
その事を知っている俺は、智くんの中心をそっと撫でた。


智「っ、ちょ…」


撫でずとも既に主張していたジーンズの奥。


翔「これが、落ち着かないんでしょ?」

智「だ、から… 触ったらまた…」


恥ずかしそうな、困ったような顔で俺の手を掴む。


翔「我慢したって治んないじゃん…」


それをさっと振り払い、抵抗のスキを与えないよう身体を密着させた。


翔「楽にしてあげるよ」


熱い身体を強ばらせ、智くんは大人しくなった。
厳密に言うと動く隙間が無いだけなんだけど。


翔「すぐ、治るから…」

智「ん、ぅ…」


キスで口を塞ぎながら、ジーンズのベルトを外してやる。
カチャカチャと鳴る金属音は静かな空間に響いて、ファスナーの音でさえも大きく聞こえる程だ。


智「っ、しょ…」


手を滑らせ、直に触る。
それはとても熱い。


智「ぁ、こんなとこで、駄目だ、って…」


心臓の音を鳴り響かせ、熱い呼吸をしているのにそんな事を言う。
この後に及んでまだ理性を保とうとしているんだ。


智「ぁ、あ」


だけどほら、そんな悩ましい声を出して。


智「っ、ふ…」


俺だけじゃなく、智くんも疼いてる事なんて一目瞭然なんだ。


智「っは、しょ、く…」


ああ、これだ。

ずっと見ていたい、その顔。

もっと聞きたいんだ、その声を。



その潤んだ瞳で、俺を見て。




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