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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideO》



ハンドルを握る翔くんを見ていた。

シートベルトこそしているものの体は完全に運転席に向いており、言うなれば凝視だ。


翔「な、何かな…?」


さっきは久し振りで、なんだか少し恥ずかしくて凝視出来なかったけど。
だけど今はそんな恥ずかしさ微塵も無い。
だってさっき車内にも関わらずとんでもない事をされたから。


智「別になにも」

翔「そ、の割に、スッゴイ見られてる気が」

智「だって見てるからね」


なんなんだろうなコイツ。
たまにこういうのあるんだよな。
奥手なのかと思いきや、イキナリ大胆になるし。
スイッチが全く以て分からない。


翔「あ、なんか買ってく?」

智「いい。それより早く」

翔「え?」

智「翔くんち。早く行きたい」

翔「っ」


なんだコレ。
さっきまでのオラオラぶりは何処へ行ったんだ。


翔「ひゃっ、ちょ、ヤメテ」

智「へ?」


なんだ急にヘンな声出して、とか思ったら俺の尻尾が翔くんの太腿に。


翔「運転中だか、ら、触んないで」

智「あ、ごめん」


意識してないのに勝手に触ってた。


翔「ひゃっ」

智「あ」

翔「ちょちょ、マジで」

智「勝手に動くんだよ」


危ないから引っ込めとかないとと思ってるのに。


智「翔くんに触りたくて仕方ないみたい」

翔「えっ」

智「だから早く。家」


大人しくしやがれこの尻尾め。


翔「じゃあ、大人しくしてよ」

智「んー」


んな事言ってもなぁ。


智「あ」

翔「だぁから、危ないでしょっ」

智「ごめん」


辛い。抑えるの、辛い。


智「早くして。もう我慢出来ない」


尻尾が疼く。尻尾だけじゃなくて、身体も。


翔「急にキャラ変わるな…」



それを言うならお互い様だけどな。




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