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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう




とうとう零れ落ちた一筋の涙は綺麗に光って。


翔「好き過ぎる…って?」


聞き返したら、ピクリと瞼を動かした。


翔「いや、聞こえてたよ」


やっぱり声にしていたとは思っていなかったようだ。


智「だってこんなの、満足してないみたいじゃん」

翔「満足?」

智「…こんな幸せでさ、なのに耳は引っ込まないし」

翔「それで、申し訳ないって?」


だから俺が悪いんだと、そう言っていたのか。


智「治らないのは翔くんのせいじゃないんだ。俺が…、俺の気持ちがオーバーしちゃってるだけだから…」


だけど裏を返せば俺のせいでもある。
俺が智くんに追い付いていない、そういう事だから。


智「違うんだよ、翔くんは十分なんだよ。俺がおかしいだけで」


その俺の気持ちを察したのか、智くんは俺を庇う。


翔「…だけど同じじゃないんでしょ?」

智「だからそれは」


俺だって好き過ぎる。
智くんを目に入れてもきっと痛くないと思う。


翔「本当に治んないの?」

智「…治んないよ」

翔「俺が、智くんと同じ位好き過ぎてても?」


キラキラした目で俺を見てる。
それは涙を溜めたからだろうけど、普段からこの人の目はキラキラしてる。

そのまぁるい潤んだ目がとても好きで。


翔「…試してみる?」


その潤んだ目を細めて更にキラキラするところもまた好きで。


翔「キス、しようよ」


ギシッとベッドを軋ませて智くんに覆い被さる。
その俺の動きを追う瞳はやっぱりまるくて。


翔「ふふ、気持ちいい…」


頭に生えたその耳を撫でて手触りを楽しむと、智くんはプルッと小さく震えた。


翔「擽ったい?」

智「少し…」


俺の手の中にある温かい耳。
もう片方の手ではその柔らかい髪を撫でて。

少しずつ顔を近付けると、智くんの目も段々と細くなっていく。

鼻先が触れる程になると、細める目とは逆に小さな唇は薄く開くんだ。


智「ん…」


熱くて柔らかい唇。

そこに辿り着いた俺は、智くんを堪能する。

掌だけで智くんの震えを感じ、触れた唇だけでその熱を感じる。


智「ん、ぅ…」


差し込んだ舌で、智くんの疼きを感じ取るんだ。






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