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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideO》



翔くんの瞳が変わった。


智「ん…」


熱い眼差しとはこういうのを言うんだろうか。


翔「いいよ、無理に引っ込めなくて…」


知っているのかいないのか。
俺の疼きを誘発する低い声で囁いて。


翔「なんなら逆に、嬉しい」

智「え?」


キスをしながらクスッと笑うのも好きで。


翔「だって俺だけでしょ? そんなになるの」


確かに前は油断すると皆の前でも出っ放しだったけど。
そう言えば最近は無い。


翔「それって、俺にだけ疼くって事でいいんだよね…?」


きちんと答えた訳でもないのに何故かわかるんだ。
全くその通りで、俺の猫化が出るのは翔くんにドキドキしてる時。


翔「だったら、俺は嬉しいよ」


頭に生えた耳を愛おしそうに弄りながら翔くんは言う。


翔「だから、申し訳ないなんて思わないで…」


愛おしそうに弄る指も、優しく俺の咥内を撫でる舌も。
翔くんの行動の全てが俺に対する愛を発していて。


幸せで堪らない。


翔「ふふ、熱いね、智くんの口ん中…」


嬉しくて堪らないよ。


翔「なに? 嬉しいの?」


あ。


翔「本当、猫の尻尾って正直だな」


ほらバレた。


智「だから嫌なんだよ…」

翔「俺はいいけどね」


なんなんだこの尻尾め。


翔「わかりやすい(笑)」


だけどまぁいいか。

こんなに愛を貰ってるのに治らない猫化がうらめしくて申し訳なくて。

なのになんだか翔くんは嬉しそうだし。


翔「ふふっ、擽ったいよ」


よくわかんないけど無理に引っ込めようとしなくていいみたいだし。


翔「っ、巻き付いてる、巻き付いてるって(笑)」


しかも笑ってるし。


翔「ひゃっひゃ、そこ、駄目(笑)」


こんなにいい顔してくれるんなら、わざわざ我慢しなくてよかったのか。


智「勝手に動くんだから仕方ないよ」


なんだよ。


智「我慢して」



じいちゃんがずっと言ってた“素直になれ”ってのは、こういう事だったのかな。





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