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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう




“俺も触れたいよ”

漸くチラリとこっちを見た瞳はそう言っている。
その潤んだ瞳にドキッとし、俺は一瞬怯んだ。


智「ね、いい…?」


押さえ付けた手の力をうっかり緩めると、その隙をついて智くんは俺を伺う。


翔「うん…」


俺に触れたいと、キラキラした瞳で言われて。
そんなのドキドキするし断れる訳もなく。


智「ふふ…」


そっと腕を解いてやると、智くんは嬉しそうに微笑んだ。


智「やっと触れる」


そう言うと、両手で俺の頬を挟み。


智「すべすべだね…」


嬉しそうにその手でスリスリと撫でまくる。
その顔がとても幸せそうで。


翔「そんなにすべすべ?」

智「ふふ、うん」


にこりと笑うとそっと俺に口づけた。


智「ん? なに?」

翔「いや…」


それがまたふんわりと、掠る程度のもので。


翔「可愛いなと、思って…」


愛おしいものを愛おしいと言わんばかりに。


智「へぇ?」


大事そうに、愛でるように俺に触れる。


智「コドモみたいだって?」


その笑顔に魅了されてうっかり口にしてしまったら。


智「もっと濃厚なのがよかった?」

翔「え?」

智「キス。俺も翔くんみたいなの出来るよ」

翔「へ? あ」


別にキスの仕方が子供みたいだと笑った訳では無いんだけど。


翔「智く」


なんだかムキになった智くんは俺の首に腕を絡めてくる。


翔「ぁ…」


これのいったいどこがコドモみたいなんだ。
こんな熱いキスが出来るくせに笑う訳が無いだろう。


智「ね?出来た…」

翔「ん…」


智くんに引き寄せられるままにキスをして。
この人に誘われるままに舌を絡めて。


智「血管、浮いてるよ…」


そうこうしてたら急にエロい声で囁いてくる。


翔「え…?」

智「首…」


顔を傾けて俺の首を覗いて。
そこからチラリと見上げる瞳はすごく妖しくて。


智「コレ、好きなんだよな…」


そう言うと、俺の下に居る智くんは俺の身体に腕を回し、くるりと器用に転がしたんだ。





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