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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう




その小瓶には何やら文字が書かれている。


智「男性専用…?」


外包装にそう書かれていた。


智「同じヤツ?」

翔「このほうが男には優しいんだって相葉くんが…」

智「へぇ…」


まさかいつもそんなのを使ってたなんて知らなかった。
というか、そもそもそんな専用とかいうやつがあるなんて思わなかったし。


智「開けるよ?」


ひょっとして俺は悩んでいるフリをしていただけで、こうなる事を凄く待ち望んでいたのかもしれない。
だってその証拠に、俺は返事も聞かずに既に封を開けていたんだから。


智「わ…、すご」


封を切った小瓶から垂らされるその雫。
それはとろりとしていてとてもなめらかだった。


翔「いつもと同じヤツだよ…?」

智「じゃなくてコッチが、さ」


熱を持った翔くんは、その雫にも負けない程の滑りを既に纏っていて。


翔「あ…」

智「ふふっ…」


そりゃそうだろう。
だってずっと耐えてたんだ。


智「ごめんね、俺ばっか」


これは酷い。なんて可哀想な事をしてたんだと反省する反面、翔くんをとても愛おしく感じた。


智「すぐ、楽にしてあげるから…」


俺に対してこんな反応を示す人を、こんなに熱を持つ人を愛おしくて仕方ないと思ったんだ。


翔「ぁ…」


優しく包んでやりたい。


翔「っ、ふ…」


温かく、包んでやりたい。


翔「智く…」


ありったけの愛を、押し付けてやりたい。


翔「っ、それ、だめだって…」


そしてその俺の全部詰めた想いを、ひとつ残らず飲み込んでほしい。


智「だめじゃないよ」


こんなに人に想いをぶつけたいと思ったのは初めてかな。


智「俺が、したいんだよ」


愛おしい人の熱を口内に含んで俺に対する感情を確かめる。

俺の頭を掴む手は少し力強くて。

そこからも翔くんの感情が伝わるんだ。


翔「はぁっ、ぁ…」


俺の想いを受け止める手。

受け止めて、しっかりと感じ取ってくれる呼吸。


翔「っ、まだ、駄目だから、ね…」


駄目とは言っても俺を否定している訳では無いその声が、俺にとっては秘薬のようなもので。


翔「ぁ、あ…っ」


その翔くんの行動全てが嬉しくなってしまうのは仕方の無い事なんだ。





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