テキストサイズ

神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideS》



駄目だよと制しても智くんは言う事を聞かず。
だけど激しく攻め立てる訳でもなく、只俺を優しく包み込む。
その心地良い温もりの中に俺は微睡んで。


翔「あぁ…」


卑猥な音を聞きながら、この人の心を感じた。


智「イッていいよ」


微睡みながらも俺の下半身には更なる血液が集中する。
それを察した智くんがそう言ったんだ。


翔「っは…、まだ、イキたくない…」


だけど俺はそれを拒否した。


智「辛いでしょ? 我慢しなくていいよ…」

翔「だ、めだよ」

智「どうして? 俺なら大丈夫だよ…?」

翔「だっ、て」


会話をしながらも智くんは俺を口内から離さずに。


翔「だってまだ、愛してない、よ」


だけど智くんがピタリと止まった。


翔「まだ、愛し足りないよ。俺が…」

智「え…?」


俺を掴んだまま、きょとんとする智くんは顔を上げた。


翔「もっと、愛したいよ」


まるい瞳を向けている智くんは、俺の言葉の意味を探っている。


翔「もっと愛させて…?」


俺の熱を握り込んだままのその手首を掴むと、智くんの瞳が揺れた。
言葉の意味を見つけ出したのか、智くんはほんの少し動揺したのかもしれない。


翔「嫌…?」


揺れた瞳を携えたまま固まってしまった智くんに俺は聞くんだ。
だってその姿は不安そうに見えたし、まだ心の準備が整っていないのかもしれないと思ったから。


智「嫌じゃ、ない…」


だけど智くんは“嫌じゃない”と言うんだ。


智「これ以上の愛し方があるなら、俺は」


俺の気持ちを汲み取ってくれる。


智「それをしたい…」


俺の心を受け入れてくれる。


翔「いいの…?」


ボソボソと話す声は小さいけど。


智「俺だって、全然足りてないんだよ…」


だけどそれは掠れていても吐息混じりで。

凄く熱い。



そんな熱に魘されたような声で、囁いたんだ。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ