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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideS》



智「ぁ、っ」


虚ろな瞳で微睡んでいた智くんの瞼がピクリと震えた。


翔「力、抜いてね…」


ローションを纏った指を智くんの後ろにピタリとあてがっただけで、僅かに震えた。


翔「大丈夫、ゆっくりするから…」


ほんの少し力を込めると、智くんはきゅっと閉じた瞳の片方だけ開いて俺を見る。


智「ぁ、っ、ちょ…」


戸惑ったような言葉と同時に俺の腕を掴み、焦りを伝えてきた。


翔「怖い…?」

智「や、ちょっと」


ふうっと一息ついた智くんは目をまるくして。


智「驚いただけ…」

翔「…知らなかった?」

智「知ってたけど、そっか、って(笑)」

翔「そっか?」

智「や、なんでもない(笑) ごめんね?」

翔「ごめん?(笑)」


急に来た驚きを自分で消化し、何故か智くんは笑った。


智「もう、大丈夫」

翔「本当?」

智「うん」


勝手に解決し、俺の下でふにゃっと笑う。


翔「怖いなら、無理はしないよ?」

智「大丈夫だよ」


その笑みは本当なのか、それとも無理をしているだけなのか。
それを探ろうとして出した質問だったのだけど。


智「もっと、愛してくれるんでしょ…?」


チラリと寄越した瞳は潤んでいて。


智「もっと、翔くんを感じる事ができるんだよね…?」


掠れた声で、囁くように発する。


智「だったら早く、感じさせて…」



言葉と共に、熱い息を吐いたんだ。






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