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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideO》


まさかコッチだと思ってなかったから。


翔「触るよ…?」

智「うん…」


でもそうか。
ちゃんと調べたと言っていたし、翔くんのプランは初めからこうだったんだろう。


智「ん…」


ゆっくりと俺を触る翔くんは、その指先が少し震えていて。
緊張が手に取るようにわかる。


翔「痛かったら言ってね」

智「うん」


痛くなんてなる訳ない。
それ程優しく、大事に扱う。


翔「気持ち良くはないだろうけど、ココ、柔らかくしとかないと駄目だって聞いたから…」

智「うん…」


撫でるように、焦らずゆっくりと俺を押し解す。
暫くそれを続けると、翔くんは更なる滑りを足し俺を見た。


翔「…中にも、塗るよ?」


コクンと頷く俺を見て、翔くんは意を決したように指に力を込めるんだ。


智「ん…」


滑りを纏った指は、恐る恐る俺に忍び入ってくる。


翔「痛くない…?」

智「大丈夫…」


少しだけ入り、内壁に塗り込むように指を動かす。
俺の反応を見ながらその行為も暫く続けて、慎重に、慎重に事を進めていく。


翔「…少し、柔らかくなったよ。わかる…?」


俺を見ながら動かす指は優しさを込めて。


智「ん、わかるよ…」


そう答えると、安心したように笑みを零す。


翔「もう少し、入れるからね…?」

智「うん…」


ぐぐっと押し入る指はゴツゴツして。


智「ぅ…」


眉がピクリと反応した。


翔「ごめん、痛かった…?」

智「大丈夫、痛くないよ」


太いその指に驚いたんだ。


翔「動かすから、辛かったら言ってね…?」

智「わかった…」


ゴツゴツした太い指に似合わず、柔らかい声で囁いてくる。


智「ん…」


もうそのギャップだけでさ。


翔「大丈夫…?」

智「大丈夫だよ…」


男らしさを感じさせるくせに優しいその指の動きだけでさ。


智「っふ…」


気持ち良くないなんて誰が言った。


智「ぁ、あ…」



俺の脳が、心が気持ち良くてたまんないよ。






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