テキストサイズ

神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideS》




智「ぁ、っ…」


俺を誘った。


智「んん…っ」


その姿形だけでなく、小さな口から出る言葉で確実に俺を誘ったんだ。


智「は、ぁ」


必死で押さえていたにも関わらずそんな言葉を繰り出すもんだから。


智「ぁっ、しょう、く…」


煮えたぎっていた血液が全身を駆け巡って。


翔「っ、は…」

智「んぅっ」


止まらない。


智「んっ、んぅ…っ」


騒ぎ出した血が止まらないんだ。


翔「さと、しくん」


そんな言葉を吐いたこの人が愛おしくて抱き潰したくて。
優しく撫でてやりたいのにこの手には力が篭ってしまうし。


智「ぅ、く…」


そうして身体を撫で付けながら腰の動きを早めるとこの人は小さく声を漏らす。


智「はっ、ぁ」


眉も少し歪んで唇だって固く結んでいるのに。

だけど我慢出来ずに僅かに開いた唇から吐息にも似た息が漏れるんだ。


智「ぁ、あ…」


瞼も唇もぷるぷると震え、背だって僅かに浮いている。

耐えるのがそれほど苦しいのかと思えばそうではなく、智くんの身体は明らかに火照っていた。


翔「あぁ、熱い…」


熱い身体に吸い付くと、頬の赤みは益々増して。


智「ん、ふ…」


その身体を抱き込んでおもいきり突いてやれば苦しそうな声をあげた。


智「んぅっ」


その勢いを殺さずに素早く腰を引いて、再び突き上げる。


智「んぁ、っ」


ガクガクと揺さぶられる身体はまさに“身を任せている”ようで。


智「ぁ、あっ」


まるで“好きなようにしてくれ”とでも言っているみたいだ。


智「はぁっ、ぁ、っ」


細めた瞳も潤んだ瞳も。
まるで俺を見る為だけに付いているんじゃないかと思える。


智「ぁ、う、翔、く…」


力の抜けた身体は顎もすっかり上がってしまって。
頭をこっちに向けられないからと、目玉を動かして俺を見付けるんだ。


翔「智くん…」


何か言いたそうに口をパクパクと動かして。
だらんとした腕を必死で持ち上げ俺を掴む。


智「しょ…く、ん…」


なんだよ俺の名前を呼びたかっただけなのか。


翔「うん、智くん…」



その声だって、俺の名を呼ぶ為だけにあるんじゃないのか。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ