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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう




なんて智くんの姿に翻弄されていたら、頭をガッと掴まれた。


翔「ふぇ…?」


智くんの熱を頬張ったままキョトンとする俺は多分間抜けだ。


智「ど、うせなら、一緒に」

翔「え?」

智「コレ…」


“コレ”という智くんは、つま先で俺の中心を突く。


翔「ぁ、っ」


そりゃそうだ。
こんなに翻弄されて俺の熱が黙っている筈もない。


智「いいよ…」


そう言うと、俺の腕を引き上げ智くんの上に俺を抱き寄せた。


翔「え…?」

智「もっかい、ゴムつけて…」


カサッと音がする方向を見ると、智くんは掌に乗せたゴムを俺に差し出していた。


翔「いい、の…?」

智「ふふ、うん」


俺に魘されるこの人の姿を見てあんなに喜んでいたというのに。
智くんはそんな邪心など一切無く、只俺に柔らかい笑みを向けてくれるんだ。


智「けど俺たぶんすぐイッちゃうから」

翔「ん」

智「俺が先にイッても気にしないで。ちゃんと翔くんがイケるまでしていいから」

翔「智くん…」


この人の優しさに触れた。
今までだって何度でもあるけど。腐る程あるけど。


智「え、なに。泣いてるの?(笑)」

翔「うっ、ううん」

智「ふふ、ヘンなの…」


ニコニコと笑う智くんは俺の掌にローションを垂らす。
それはとてもなめらかでキラキラしていて。
まるで智くんみたいだ。


翔「じゃあ、いくね…?」

智「うん…」


この人の心を抱いて俺はこの人に押し入る。

押し入るなんて言うと俺が主導しているように聞こえるけど。

だけど押し入ろうと少し開いた俺はあっという間にその中へ呑み込まれて。

有無を言わさず引きずり込まれるんだ。


智「ぅ、あ」


まるで悲鳴を上げているようで実は俺を呼び込んでる。


智「ぁ、あぁっ…」


苦しそうに聞こえて、実はとても妖艶で。


智「はぁ…っ、く…」


どこから出しているのか醸し出す甘い香りで。


智「んぁ、しょ…く、ん…」


俺を誘うんだ。


どうかこれからもずっと、俺をその甘い香りで包んで。





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