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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《sideO》



あぁ、あったかい。


翔「…智くん? 寝ようとしてない?」

智「ほぇ?」


翔くんに抱きついてた。
ベタベタの身体で、その粘着力すら利用してしっかりとくっついていた。


翔「シャワーしよ?」

智「ん~…」

翔「ほぉらってば、どうせ寝ちゃうんでしょ?(笑)」


抱きつく俺の頭をわしゃわしゃと撫で、翔くんは笑う。


翔「ん…?」


その翔くんはピタリと手を止め。


翔「あ、あれ?」

智「なに?」

翔「え、マジで? こ、こっちは?」

智「んぁっ」


あんなにヤッたのにまた俺のケツを揉み出した。


翔「ない…」

智「は?」

翔「無いんだよっ、消えたの! 智くんの猫耳っ」

智「えっ」


その言葉を受けて俺は頭をペタペタと触った。
ケツも同様に触ったが確かにそれらしきものは見当たらない。


智「わぁ、やっ…」

翔「ま~じ~かぁ~…」


ガッツポーズを決めかけたその時翔くんの肩がいっそう下がった。


翔「えー可愛かったのにー」

智「は?」

翔「もう触れないんだ…」


え? 俺が戻してやるとかあんなに言ってたのに。


智「残念なの?」

翔「そりゃあさぁ」

智「え? 猫になった方がよかった?」

翔「いやいやそう言う事ではないんだけどさ」

智「じゃあなに」

翔「だからすっごい可愛かったから」

智「俺は?」

翔「へ?」

智「この俺じゃ不満なの?」


なんだか腹が立ったから思いきり眉を下げて見上げてやった。


智「…こんな俺じゃ、好きになれない?」

翔「ばっ」


ついでに瞳もうるうると揺らせてみて。


翔「馬鹿なの貴方」

智「なに」

翔「この智くんじゃなきゃ好きにならないよ」

智「猫耳も尻尾も無いよ?」

翔「あっても無くても! 智くんは智くんなんだから俺の好きは変わらないよ」


戻った俺を尻目にあんなに残念がっていたというのになんだその返答。


智「変わらない?」

翔「あたりまえでしょ。貴方俺の何を見てたの」

智「何って…」

翔「いつでもどんな時でも貴方しか見てないでしょ?」


ずるいよな。


翔「智くん以外は見えないんだから。これからも愛させてよね」

智「しっ、仕方ないな…」


ほんっとずるいよなこの男。


どこまで俺に惚れさせれば気が済むんだ。






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