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神様の願い事

第12章 “好き”の向こう

《side爺》



翔『猫耳ってなに…?』


やばい。かなり冷たい視線を感じる。


翔『猫耳とか尻尾とか、“猫になった方がよかった?”とかなに』

智『さ、さぁなんだろね』


チラリと翔くんを盗み見ると、深い溜息を漏らしていた。


翔『やっぱあの呪文か…』

智『な、なんのこと』

翔『まさかあのインチキ呪文が使えたとは』

智『あっそれ! 俺もヤラセだと思ってたから本当にかかっちゃって驚いたんだよ(笑)』

翔『笑い事じゃないからね…?』


よりいっそう冷たい空気が辺りに漂ってしまった。


翔『ほんっ…とに貴方はいっつもそう! もうちょっと真剣に考えないと駄目だからね!? 元に戻らなかったらどうするつもりだったの? どうせ戻す呪文も覚えてなかったとかでしょっ?』


どうしてそこまで読めるんだ。


智『凄いな翔くん。俺の事なんでもわかるんだね』

翔『あたりまえでしょう』


あ、ちょっとエラそうにした。


智『んで相談なんだけど、あの鏡消す呪文も忘れちゃったんだよね。翔くん覚えてる?』

翔『もちろん』

智『おぉ! さすが翔くん!』

翔『えっへん』

智『んじゃとりあえずあの小さい鏡消しちゃって』

翔『お安い御用』


ノッてきた翔くんは、軽い足取りで俺と共に鏡の前まで来た。
若い二人は真横のベッドにいるが俺達の姿は見えていないようで。




-若者たち-


翔「この手触りも好きなんだよな…」

智「どの?」

翔「智くんの髪」

智「俺も好きだよ翔くんの髪。サラサラして気持ちいい…」

翔「ふふ、撫でられるのも気持ちいいね」

智「でしょ? 俺がいつでも撫でてあげるよ」




-爺たち-


翔『ラッブラブだな…』

智『ね。真横でヤラれると恥ずかしいよね』

翔『てかだいぶバカップルだなこれ(笑)』

智『もし付き合ってたら俺達もこんなんだったのかな(笑)』

翔『絶対やってそう(笑)』


まさか笑われてるなんて微塵も思わずに若い俺達は愛の言葉を交わす。

好きだよ愛してるよ、ずっと一緒にいようねなんて恥ずかしい言葉をなんの恥ずかしげも無く。


翔『“愛”のチカラってすげぇな…(笑)』



そう。まるで笑っちゃう程にそのチカラは強いんだ。





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