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神様の願い事

第13章 神様の願い事

《side爺》



翔『アレ妬きもちだったの…?』


他のヤツらも見たいとか言うからまた寄り道をしていた。


智『ん~…、なんかもやもやはしてたんだけど…』


そこで聞いた若い俺達の話に翔くんが興味を示した。


智『…そうだね。今思えば妬いてたかも(笑)』


俺達の過去も同じ事があって。


翔『俺も、なんか』

智『へ?』

翔『貴方が笑って茶化すから、なんかショックで』

智『いや、笑わなきゃやってらんないじゃん(笑)』


なんだ。ちゃんと見てたら分かったかもしれないな、翔くんの気持ち。


翔『本当、素直じゃないんだから』

智『お互い様だよ(笑)』


いろんな所に愛の片鱗を落として。

ポロポロ、ポロポロと落としまくってさ。


智『ちゃんと見ときゃよかったな…』


それを拾おうとせず気付こうともせず。

見逃し続けた結果が後悔を生んだんだ。


翔『ありがとう』

智『え?』

翔『智くんの願い、叶えてくれてありがとう』


思い返せば勿体無い事だらけ。


翔『わかったよ。智くんの気持ち』


そんな残念な俺に翔くんは感謝の言葉を述べた。


翔『見て』

智『ん?』

翔『ほら…、俺、すっごい幸せそう』


下界を顎で指す翔くんも笑顔で。


翔『アイツが幸せそうだと、俺も幸せ』

智『ふふ、うん』

翔『若い智くんが幸せだと、俺も幸せ』

智『うん』

翔『そして今、貴方と一緒に居られることが』


そこまで言うと、すぅっと息を呑んで。


翔『俺の、幸せ…』


柔らかくて、優しい声で。


翔『ありがとう、智くん』


この声を俺だけに。


翔『俺を連れてきてくれて、ありがとう』


その声を俺だけに。


智『うん…』


独り占めしたくて仕方なかった。

その声を俺だけに向けてくれる日を、いつしか願ってた。


智『俺こそ、ありがとう』


こんな日が本当に来るなんて。


智『翔くんじゃなきゃ、こんな気持ち感じる事はなかった』


もう死んでるけど。


智『こんなに嬉しいと思ったのは初めてだよ…』


漸く叶った俺の願い。


これからもっと、温めよう。






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