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神様の願い事

第13章 神様の願い事

《side爺》



翔『えっろ』

智『ん?』


やっとの思いで天に辿り着いた俺達は変な玉を覗いてた。
どうやらこれで下界の様子が伺えるらしい。


翔『なに貴方エロくない? “泊まってけばいいじゃん”とか言うんだ…』


ガン見する翔くんは二人の情事を覗き見していた。


智『翔くんでしょ』

翔『いやいや智くんが誘ってきたんじゃん』

智『知らないだろうけど翔くん相当ヤバいからね?』

翔『うっそ』

智『実はドSだよね』

翔『しっ、知らないよ』

智『だって我慢してんのわかってんのに止めてくんないじゃん?』

翔『そっ、れは俺じゃないし』

智『同じだよ。だって翔くんだもん』


どっちがエロいのエロくないだの。
こんな話題でも盛り上がれてしまう。


智『てか見すぎ(笑) なんか恥ずかしいよ』

翔『え?』

智『だって俺の身体見られてるみたいで…』

翔『あ、あぁごめん』


まぁ俺も見てんだけど。


智『…あんなの見てたらさ』

翔『ん?』

智『なんかドキドキしちゃうね』


実は来てみれば天界というものは意外に退屈で。
あったかい空気に包まれてて花畑もあるけど。
なんだかイマイチ刺激が足りなくて。


翔『…ごめんね? 俺がオタマジャクシなばっかりに』


天に来ても進化の乏しい翔くんは未だまんまるで。


翔『俺がちゃんとしてたら思いっきり抱き締められるのに』

智『大丈夫だよ』


小花が並ぶ花畑には、俺の身長よりもデカい一際大きな花も咲いていて。


智『あの花びらの陰、いこ?』

翔『え?』


ふわふわ浮いてる翔くんを掌に包んだ。


智『キスならできるでしょ?』

翔『え、キ…』


まだハグすらしてない。

それと言うのもやっぱりオタマジャクシだからなんだけど。


智『ほら、ココなら誰にも見つからないよ?』


抱きしめると潰しちゃうかも、なんて思って出来なかったけど。

よく考えればキスなら出来る。


翔『え、さと』



やっとできる。翔くんとのキス。


触れたくて愛したくて待ち侘びた、初めての可愛いキスを。





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