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神様の願い事

第1章 不思議な噂

《sideS》



神様?
んなモンいる訳ねえだろ。

それにしても昨日の二人は盛り上がっていた。
キョトンとする三人を横目に、興味ないなら聞かなくていいよとでも言う様に、相葉くんと松潤は向かい合って盛り上がっていた。

まあ、俺だって全く気にならないと言う訳でも無い。

だけど俺はキャスターだ。

神様とか言い出したら頭オカシイ奴だと思われて仕事を下ろされかねない。
だから俺は、少し気にはなったものの、傍観を決め込んでいたんだ。


ガチャ


翔「おっはよ~、って何やってんの…?」


智くんは早い。
大体楽屋に最初に来ているのは智くんだ。
で、俺は大体2番目。
だからいつも少しだけ、二人の時間が出来る。


智「んん~、おはよ…」


ソファーの前にちょこんとしゃがみ込んで下を覗いている。
身体をくねらせ、唇を尖らせて一生懸命だ。


翔「探し物?」

智「ん、ちょっとね」


両手を揃えて前につくと、お尻を高く持ち上げてソファーを覗く。
時折サッとソファーの下に手を滑らせたりして、その姿はまるで猫みたいだ。


智「んん~、もうちょっと…」

翔「必死だね。そんなに大事な物なの?(笑)」


胸をペタッと床に付け、プルプルと震える腕を伸ばす。
時折モゾモゾと動くお尻も、まるで獲物を狙う猫のように見えた。


智「…っしゃ! 取れた!」


膝をパンパンとはらってニッコリと笑う。
その指に捕らえられた物が、キラリと光った。


翔「あれ? それって…」

智「翔くんに貰ったヤツだよ」


数年前、誕生日に俺がプレゼントしたネックレスだった。
正確には、そのペンダントトップだけなんだけど。


智「チェーンが切れちゃってさ。付け替えようと思ったら手が滑ってコロコロと」

翔「着けてくれてたんだ…?」

智「家ではいつも着けてるよ? でも、いちいち外すの面倒だからもう着けてようかなって」


眉間に皺を寄せ、唇を尖らせる。
智くんは集中すると唇が尖るんだ。

さっきも唇を尖らせて必死で探していた。

今は、唇を尖らせてチェーンを通している。


俺より年上だし同じグループのメンバーってだけなのに、なんか可愛いんだよな。


まあいつも一緒にいる、慣れた仲間だからなんだろうけど。





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