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神様の願い事

第2章 秘密

《sideS》


早く寝なきゃと、俺を追い返そうとした智くんをもう一度ソファーに座らせる。
それで俺も隣に腰掛けた。
俺の圧で、智くんを逃がさない為に。


智「怖いよ」


何故か怒りが込み上げた。
悪いのは智くんじゃない、あのオッサンだと分かってるけど。


翔「頼ってくれないからだよ」


心配だったんだ。
それくらいさせてくれてもいいのに、この人は“大丈夫だから”と俺達に心配すらさせてくれない。


智「だって、心配するじゃん」

翔「しちゃ駄目なの?」


唇を尖らせて言うんだ。
そんな顔、あのオッサンにも見せたのかな。


翔「...やっぱ酔ってるでしょ。ふわふわしてる」

智「別に酔ってないよ」


そんな事を言っても酒でその瞳は潤んでるし、柔らかそうなその髪がふわふわと揺れてる。


翔「全く...、そんな姿あのオッサンに見せたの?」

智「どんな姿...」


全く自覚が無い。
自分に興味のある奴の前でそんな姿を晒すなんて。
不用心としか言い様が無い。


翔「1度ちゃんと言っとかなきゃとは思ってたけど」

智「なにを...」

翔「この際だから言うよ? 貴方はね、不用心なんだよ」

智「不、用心?」


なんだそれとキョトンとする智くんに俺は言い聞かせた。
そんなふわふわした姿を他所で見せちゃいけない、その潤んだ垂れ目でニコニコと笑いかけちゃいけないと、俺は昏昏と説明したんだ。


翔「分かった?」

智「...」


少し言い過ぎたかな。
不貞腐れてしまったかもしれない。
いやでもこれは、大事な事だし分かって貰いたかったんだ。


翔「ね、聞いてるの...」

智「むにゃ」

翔「ってオイ」


寝てんのかよ。

今言ったところだろうが。


そんな不用心に、無防備な姿を晒すから。


だから。


翔「はぁ...、本当堪んねえよ...」


抑えろと言う方が無理だ。


こんな姿を目の当たりにして、触れたいという衝動に駆られるのは当たり前の事なんだ。






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