
神様の願い事
第2章 秘密
あったかいな。
暖かくて滑らかで、鼻を掠める香りは少し甘くて。
抱き抱えるその肌触りが気持ちよくて、微睡んだままその温もりに顔を埋める。
翔「はぁ、気持ちいい...」
会った時には神様は既に酔っていたし、俺も少し酒を呑んでいたから、呑み直したらすぐに眠くなってしまったんだ。
俺の膝でまるくなって微睡む神様を抱えて俺はベッドに入った。
痛んだ胸にはその温もりが心地好くて、俺はぎゅっと神様を抱いたまま眠りについたんだ。
それでふと、今浅い眠りに戻った。
眠い目をこじ開ける事はせずとも、未だ俺の胸には温もりがあった。
ああ、まだここに居るんだな、まだここで一緒に眠ってるんだなと、再びその温もりにぎゅっと力を込めた。
「んふ...」
力を込めすぎたか。
神様が苦しがっていないかと、その身体をゆっくりと撫でる。
やっぱり暖かい。
すべすべして滑らかで、気持ちいい。
翔「ん...?」
すべすべしてる。
翔「あれ...」
毛は? あの柔らかくてほわほわした毛は一体どこに。
目を閉じたまま手の感覚だけでその身体を感じる。
ゆっくり撫でるその身体は意外にも大きい。
手を這わせていくと、いつものまるい神様のフォルムと違う気がしたんだ。
さわさわ
えと、これは...腕、か?
するとこれは胸で、これは...、腹。
翔「え...」
俺の身体と変わらないその肢体に疑問を抱く。
なんだこれは、どういう事だと重い瞼をこじ開けると。
翔「智、くん...?」
俺の目の前にはふわふわした見慣れた明るい髪。
そこから延びるうなじに、月明かりに照らされた艶めいた肩。
翔「どうして...」
顔なんて見なくても分かる。
すぅすぅと可愛い寝息を吐いているのは、絶対にあの人なんだ。
