
神様の願い事
第2章 秘密
智「松にぃ」
松「おぅ」
智「っと、翔くん?」
松「俺が呼んだんだよ。言ってなかったか?」
智「聞いてないよ(笑)」
智くんが手を振って待ってた。
そこへ車をつけると、松岡くんは助手席のドアに手を伸ばして開ける。
すると、智くんは当たり前のように松岡くんに笑いかけ、助手席に乗り込んだんだ。
智「翔くん、昨日ごめんね? 俺寝ちゃったよね?」
助手席からチラリと俺を見て話す。
松「昨日?」
智「うん。翔くんに送ってもらったんだけど、俺寝ちゃったみたいでさ。家で少し話してた所までは覚えてるんだけど...」
松「昨日も呑んでたのか(笑)」
智「少しだけね」
翔「いや、結構酔ってたよ?」
智「ええ?」
翔「だって俺がいつ帰ったか知らないでしょ?」
智「あ~、起きたら、居なかった…」
翔「ほら」
智「ふふ、ごめん(笑)」
別に対抗してる訳じゃ無いんだ。
だけど少し、意地を張りたくなった。
松「本当コイツすぐ寝るんだよ。俺の話がつまらないのかと思ってたけど、そっか櫻井と一緒でも寝るんだな」
智「そんなすぐ寝てる?(笑)」
松「この間なんて玄関で息絶えたじゃねえか(笑)」
智「あははっ、そうだった」
智くんは酔っ払うと眠くなっちゃうんだ。
松岡くんはそんな智くんを介抱してやるそうだ。
家まで送ってやったのに寝ちゃってるから、苦労してベッドまで運んだんだと。
違う日は、呑みの店で解散する筈が“まだ足りない”と松岡くんの家に押し掛けそのまま泊まって行くんだと、2人で笑い合ってた。
翔「へえ、松岡くんちに泊まった事あるんだ」
智「凄いんだよ松にぃのベッド。大きいんだ」
松「お前だって凄いじゃねえか。2人で寝ても余裕だったろアレ」
2人で寝るのか。
俺はこの間初めて智くんの家に行ったけど、松岡くんはあの家をもっと知っているみたいだ。
松「あ、そうだ。俺の超音波歯ブラシ忘れてなかったか?」
智「白いヤツでしょ? あるよ」
松「やっぱお前んとこか。あれ海外土産でさ、めちゃくちゃ使い易いのにコッチに売ってないんだ」
智「また持ってくよ」
松「おう、悪いな」
そうか。
あの仲良く並んでた歯ブラシは、松岡くんのだったのか。
