
神様の願い事
第2章 秘密
《sideO》
「どうしたの溜息なんかついて...。何か、心配事でもあった...?」
俺は神様なんかじゃ無い。
変な鏡に乗り移ったじいちゃんに、やれと言われてやってるだけだ。
翔「ああ、ちょっとね...」
恋の神様をやれと命じられた。
命じられる筋合いなんて更々無いんだけど、急に猫になっちゃって。
人々の恋の話を聞いてるうちに、自分の大事なものに気が付く筈だと。
それまでは猫になり続けなきゃいけないよ、なんて言われた。
翔「はぁ...」
それがまさかこんな身近な人物の話を聞くハメになるなんて。
翔「避けられてるのかな…」
「避けられてる?」
翔「や、そんな筈は無い。今日だって少しおかしな感じこそしたけど普通に話したし」
「例の気になる人の事...?」
翔「うん」
仕事関係で頭を悩ませる姿を見た事はあっても、これ程までに憂鬱な溜息は珍しいかもしれない。
「やっぱり、恋人がいたの?」
翔「いや...、それは俺の勘違いだった」
「じゃあ、どうして避けられてるなんて」
翔「それが分からないんだよ」
小さな塊に姿を変えた俺を膝に乗せて、またひとつ溜息を吐いた。
翔「あのキス、凄く熱かったのに...」
「キス...?」
翔「キス、したんだよ。その人と」
遠くを見る眼差しは、そのキスを思い出してるんだろうか。
翔「凄く熱くてさ。嘘のキスだとは思えないんだよ…」
紅く濡れるその唇で、好きな人とキスをしたんだ。
それなのに憂鬱そうな顔を見せて。
「余計な噂を聞いた、って事は無いの...?」
翔「噂?」
「ん。ゴシップじゃ無いけど、スキャンダル的な」
翔「噂、ねえ」
俺と翔くんの話が耳に入ってしまった、なんて事は無いんだろうか。
メンバーと、それも男とデキてるなんて。
そんなの知ったら避けられるのは当たり前なんじゃ無いのか。
俺は翔くんの笑った顔が見たいだけなのに、応援するどころか邪魔をしてしまうなんて。
翔くんの立場を考えずに行動した俺が悪いんだ。
勢いに任せて動いた俺が、馬鹿なんだ。
「どうしたの溜息なんかついて...。何か、心配事でもあった...?」
俺は神様なんかじゃ無い。
変な鏡に乗り移ったじいちゃんに、やれと言われてやってるだけだ。
翔「ああ、ちょっとね...」
恋の神様をやれと命じられた。
命じられる筋合いなんて更々無いんだけど、急に猫になっちゃって。
人々の恋の話を聞いてるうちに、自分の大事なものに気が付く筈だと。
それまでは猫になり続けなきゃいけないよ、なんて言われた。
翔「はぁ...」
それがまさかこんな身近な人物の話を聞くハメになるなんて。
翔「避けられてるのかな…」
「避けられてる?」
翔「や、そんな筈は無い。今日だって少しおかしな感じこそしたけど普通に話したし」
「例の気になる人の事...?」
翔「うん」
仕事関係で頭を悩ませる姿を見た事はあっても、これ程までに憂鬱な溜息は珍しいかもしれない。
「やっぱり、恋人がいたの?」
翔「いや...、それは俺の勘違いだった」
「じゃあ、どうして避けられてるなんて」
翔「それが分からないんだよ」
小さな塊に姿を変えた俺を膝に乗せて、またひとつ溜息を吐いた。
翔「あのキス、凄く熱かったのに...」
「キス...?」
翔「キス、したんだよ。その人と」
遠くを見る眼差しは、そのキスを思い出してるんだろうか。
翔「凄く熱くてさ。嘘のキスだとは思えないんだよ…」
紅く濡れるその唇で、好きな人とキスをしたんだ。
それなのに憂鬱そうな顔を見せて。
「余計な噂を聞いた、って事は無いの...?」
翔「噂?」
「ん。ゴシップじゃ無いけど、スキャンダル的な」
翔「噂、ねえ」
俺と翔くんの話が耳に入ってしまった、なんて事は無いんだろうか。
メンバーと、それも男とデキてるなんて。
そんなの知ったら避けられるのは当たり前なんじゃ無いのか。
俺は翔くんの笑った顔が見たいだけなのに、応援するどころか邪魔をしてしまうなんて。
翔くんの立場を考えずに行動した俺が悪いんだ。
勢いに任せて動いた俺が、馬鹿なんだ。
