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teardrop

第5章 5滴

3日目になると透花は藤沢へ注意する。

「近所に聞こえて、恥ずかしいから名指しで呼ばないで」

「…わかった」

藤沢は素直に答えたが、次の日にはスクーターのクラクションを鳴らして透花に気づかせた。

藤沢の不審な行動は続いた。

金曜には透花があらかじめ、いつも藤沢が来る時間帯になると外へ出て待っていた。

案の定、藤沢は来た。

「やっぱり来た…毎日毎日、何の用?」

藤沢は学校のプリントを手渡すと何も言わずに帰って行った。


日曜の午後。

松本の家に遊びに来ていた藤沢。

松本が思い付いたように「トーカちゃん、このまま休み続けたら出席日数ヤバくない?」と何となく言い出した。

藤沢は視線だけで松本を見る。

暫く沈黙の後、藤沢は「俺、ちょっと用事思い出したから帰るわ」と玄関へ向かった。

「帰るの!?藤沢、最近付き合い悪くない?学校終わったらすぐ帰るし…彼女でもできた?」

松本の質問に藤沢は「はぁ?用事だって言ってんだろ。女なんていねーよ」と言うと、すぐに出て行った。

松本は窓を開けて藤沢を見送ると「俺、寂しいぞ…」と呟いた。

藤沢はそのまま透花のとこへ向かった。

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