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teardrop

第5章 5滴

「関係あっから来てんだろ!!」

藤沢も強く言い返した。

透花は驚いて黙り込む。

強く降りだしてきた雨に、藤沢はスクーターから降りると透花の横に立ち、雨宿りをする。

少し怯えた感じの透花を見て、藤沢は「…怒鳴って、悪かったよ。だから、そんなビビんなって」と静かに謝った。

透花は暫く黙っていたが「関係ある…って…何?」と聞いた。

雨雲を見ながら少し間を置いて考える藤沢。

「…お前が来なかったら、夏休みの宿題をやってねー仲間が減るじゃん」

拍子抜けするような回答に透花は唖然としながら「そんな事で…?」と気が抜けたように呟いた。

「だから、学校来いよ」

透花は藤沢を見たまま返答しない。

「学校来るまで毎日来るからな」

透花は顔をしかめて「…意味わかんない」と言った。

藤沢は自分で言っておきながら、馬鹿馬鹿し過ぎる理由に思わず笑いだす。

「ハハハ…何、言ってんだろうな…俺も意味わかんねーよ」

雨音に混じる藤沢の笑い声。

透花はそんな藤沢を見て、溜め息に似た息を一つ吐くと少し警戒心を緩めた。

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