テキストサイズ

teardrop

第1章 1滴

成宮は「望月さんが好きで…だから、もし良かったら俺と付き合ってください」と勢いをつけて透花に告白する。

透花は目の前の光景に、まだ何となく現実味を感じないまま少し考えた。

「あの…私…成宮君の事、よく知らなくて…。それに、誰かと付き合うとかまだ考えた事もないから…」

最初は冗談かもと思ってた透花だったが、成宮の様子から必死さはちゃんと伝わっていた。

残念そうな成宮の顔を見て、透花は「…本当にごめんなさい」と謝る。

少し泣きそうな顔をしてるようにも見えた成宮が「いや、こっちこそ急にこんな事…望月さんは何も謝らなくても…俺の方こそゴメン…」と、しどろもどろに答える。

微妙な沈黙が二人の間に流れた。

校内放送が響いて、成宮が時計を確認。

「あ…俺、もう部活行かなきゃ…とりあえず来てくれてありがとう。…じゃあ」

成宮は走り去って行く。

成宮が去った後、透花は改めて今あった事を思い返す。

まさか友人達の言った通り本当に告白をされるなんて微塵にも思ってなかったせいか、初めての告白に正直ドキドキしている。

それでもやっぱり付き合うのは考えられない。

成宮には本当に申し訳ないと思いながら、帰り支度を整えた透花は家へと帰って行った。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ